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宇宙の戦士 とは?

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宇宙の戦士うちゅうのせんし、Starship Troopers)は、アメリカSF作家ロバート・A・ハインラインによる、宇宙戦争をテーマとしたSF小説。1960年のヒューゴー賞受賞作品。

出典: 『ウィキペディア(Wikipedia)』


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宇宙の戦士うちゅうのせんし、Starship Troopers)は、アメリカSF作家ロバート・A・ハインラインによる、宇宙戦争をテーマとしたSF小説。1960年のヒューゴー賞受賞作品。

1959年という、冷戦時代の真っ直中、ベトナムの情勢が戦争へ向けて大きく傾いていた時期に刊行された。


注意以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。


目次

概要

舞台は未来の地球。裕福な家庭に生まれた主人公の少年ジュアン・リコ(ジョニー)が、高校卒業後に両親の反対を押し切って軍隊(地球連邦軍宇宙陸軍)に入り、徹底的にしごかれて、一人前の機動歩兵になっていく過程を描いた作品。特に、訓練キャンプ「アーサー・キューリー」での軍事訓練および宇宙生物との戦いを描いている。なお、主人公はフィリピン系(つまり非アングロサクソン系)であり、作品の終盤に彼の母語がタガログ語である、という形でかなり遠回しに明らかにされる。この当時のアメリカSFにおいて、非白人・非アングロサクソン人が主人公を演ずることなどまずありえない、そんな作品は頭から認められなかったための苦肉の策と思われる。

21世紀初頭、増加する犯罪と政府の非効率に対して寛大すぎた西側社会は荒廃し、加えて覇権主義的な中国と米露連合の大戦争(おそらく、最初の宇宙での戦争)で地上は破壊され、終戦後西側の民主主義は崩壊した。混乱する地球社会において退役兵たちが事態を収拾し、その後誕生した地球連邦では軍事政権によりユートピア社会が築かれていた。社会は清廉で規律を重んじ、能力主義が徹底され人種・性別による差別はなく、作中でもユダヤ人、日本人、ドイツ人、イタリア人、アラブ人、ヒンドゥー教徒(インド人)、インドネシア人、ヴェトナム人などあらゆる人種が性別に関係なく全く平等に活躍しているが、ただ軍歴の有無のみにより区別されている。すなわち、18歳の誕生日を迎えた者ならだれでも就くことができる兵役を経験して参政権を与えられた「市民」と、就かなかったため参政権のない「一般人」である。なおこの区別は参政権といくつかの政府職への就職を制限するだけのもので、見た目には両者とも全く区別なく生活し、言論や表現の自由も保障されてはいる。形態はある国家における“市民”と“永住者”の違いに似る。

人類は銀河全体に殖民を始めているが、その先で遭遇した先住生物・惑星クレンダツウを本拠とするアレクニド(蜘蛛そっくりの昆虫型宇宙生物)と紛争中だった。そんな中、アレクニドは地球に対し奇襲攻撃を行い、これによりブエノスアイレスが壊滅、全面戦争が始まった。地球軍は敵主星クレンダツウへの総攻撃を行なうが撃退され、逆に敗戦寸前の大敗北を喫する。残された策は、電撃的な降下作戦によるピンポイント攻撃、すなわち、ジョニーたち機動歩兵だけだった…

議論

ハインラインは宇宙の戦士の中で、主人公の歴史哲学の教師であるジャン・V・デュボア機動歩兵退役中佐の言葉を通して、軍事に貢献することで市民としての権利をえられたかつての都市国家(ポリス)時代のギリシャ、あるいはローマ帝国のような軍国主義的、戦争肯定的な発言を繰り返している。軍事教練という「力による教育」の強調や、敵意を持った勢力に対してはこちらの側も相応の力を有していてはじめて対等に対峙できる、というスタンスが多くの議論を呼んだ問題作。

安全保障論の観点からは、バランス・オブ・パワーの基本的な概念といわれる。また作中では「統制された暴力機構」としての軍隊と社会の規律と理想(暴力の行使が異常であることを軍人達が認識している)が語られており、単純な保守派のマチズモとも異なる思想であるが、表面に現れている軍隊万歳なイメージと、共産主義リベラル派を恣意的に混同した上での批判的な態度により、拒否反応を示す読者や論者も多かった。

人類と昆虫型生物の軋轢・昆虫型生物による奇襲攻撃・昆虫型生物の本拠に向けて星から星へ上陸作戦を進める展開は、太平洋戦争におけるアメリカ合衆国大日本帝国との関係に酷似していると、一部から指摘された。ここで描かれる軍国主義の連邦はアメリカの似姿・理想の姿に、昆虫型の敵は人格を否定された日本と重なる、とするものである。肥え太った女王・頭脳グモと、考える力の無い兵隊・労働グモで構成されるアレクニドたちの社会は第二次大戦中制作されたアメリカの宣伝映画における日本のイメージと通じるものが在るが、むしろナチス・ドイツスターリニズム体制化の共産主義国家をイメージしたものであったとも解釈できる。『月は無慈悲な夜の女王』をはじめとして、ハインラインの小説には肯定的な役割を演ずる日本人キャラクターも登場しており、簡単に判断するのは難しい。

戦争否定派には「三等兵小説に宇宙服を着せただけ」という批判もあった(元々ハインラインの作風は「◎◎をSF風にしただけ」のものが多い)。同じSF作家であるハリイ・ハリスンは『宇宙の戦士』などのパロディである反戦小説『宇宙兵ブルース』を書く事で、『宇宙の戦士』の軍国主義的な思想に皮肉と笑いをもって真っ向から対立した。ハインラインは数々の問題作を書いたが、宇宙の戦士はその最初のものである。

なお、作者のハインラインは基本的にリバタリアンであるが、大学中退後すぐに軍隊に入隊(後に病気の為除隊)したりした愛国者であったり、一時期は鉱山での労働体験を通して社会主義者になるなど多彩な顔を持つ。アイザック・アシモフ曰く元々のハインラインはリベラルであったが、ハインラインは保守的なバージニア・ガーステンフェルドと二度目の結婚をしてから変わったという(I. Asimov: A Memoir)。ハインラインの後の作品、例えば『月は無慈悲な夜の女王』は社会主義者或いはリベラリストの名残も見られ、他にも『異星の客』のような共産主義的な風刺小説を書いたり、『愛に時間を』で国の為に戦うのは馬鹿げているかのような発言をするなどした。本人の思想をそのまま語っているのではなく、その都度、世界観にあわせたキャラクターの発言ともとりうる。ただし、個人の自由と独立、それを守るために戦うことについての強い愛着と信頼(そして戦わずしてそれを求める者への蔑視)はおおむね一貫している。


以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。


原書・翻訳

関連作品・他の作品への影響

パワードスーツ

作品中に登場する様々な小道具類やアイディアは、以降の作品に影響を与えた。特に、兵士が「着る」というパワードスーツ(強化防護服)のアイデアは、その後、多くのSF作品で類型の兵器を生む源流となり、特に1980年代から1990年代にかけて大流行した。具体例はパワードスーツの登場するサイエンス・フィクション一覧を参照されたし。

日本のSF界においては、とりわけハヤカワ文庫版(1977年)[1]の挿絵に登場するスタジオぬえ宮武一貴デザイン、加藤直之画によるパワードスーツの与えた衝撃が大きい。アメリカのペーパーバック(日本の「文庫本」相当)版に見られる伝統的な宇宙服に近いデザインから、殺気を宿す「戦闘用機械」へ刷新したビジュアルは、多くの人がイメージする「パワードスーツ型兵器」の原型となった。この「ぬえ版パワードスーツ」は現在でも人気が高く、アクションフィギュアプラモデルが発売されている。

その影響は映像分野へも波及し、SFアニメメカニックデザインにおいても重要な転換点となった。従来のヒーロー的なロボットとは異なる「軍用の人型量産兵器」という発想は、『機動戦士ガンダム』に始まるリアルロボット路線の基調となり、様々な人気メカニックを生みだした。なお、『機動戦士ガンダム』に登場するメカニック、ガンキャノンのデザインには先の「ぬえ版パワードスーツ」のデザインが活かされている。

なお、ガンダムの制作関係者にハヤカワ文庫版を紹介したのはスタジオぬえの高千穂遥だったが、本来の意図は「主人公の国籍が明かされるラスト部分の面白さ」を伝えることだったという。結果的にパワードスーツをヒントにモビルスーツのアイデアが生まれ、日本において『宇宙の戦士』は内容の論議とは別に、「ガンダム誕生に寄与したSF小説」という評価を得ることになった。

小説

ハリイ・ハリスンの『宇宙兵ブルース』は『宇宙の戦士』などの軍事SF小説に対するシニカルな批判的パロディとして発表され、作中にベトナム戦争を思わせる惑星と機動歩兵も登場する。

また、パワードスーツ型兵器を用いた兵士による、異星人との戦いを描いた著名なSF作品として、ジョー・ホールドマンの『終りなき戦い』 (The Forever War)がある。ここでは「コンバット・シェル」と呼ばれるパワードスーツ型兵器が登場する。

日本では、1963年~1964年、小学館の少年雑誌「ボーイズライフ」に『宇宙の特攻兵』のタイトルで連載されたが、主人公が日系人であるなど翻案といえる内容だった。著者は後にハヤカワ版の翻訳も手がける矢野徹、挿絵は中西立太。当時高校生だった劇画家小林源文はその挿絵に感銘を受けて中西を訪ね、絵を学んだというエピソードがある。

映像化

実写版

1997年、アメリカにおいてポール・バーホーベン監督によって実写映画化され、物議を醸した。タイトルは原作と同名で、日本におけるタイトルは『スターシップ・トゥルーパーズ』であった。

作中にはパワードスーツは登場せず、むしろ生身の兵士と、異星の昆虫型生物「バグズ(Bugs)」との(グロテスクな)暴力描写が強調され、原作小説における思想はあまり語られていない。登場人物、固有名詞などは共通しているが、ストーリーの展開もかなり異なり、「原作と題名は同じだが、別の作品」との評価が大勢を占める。劇中のプロパガンダ映像など一見軍隊万歳思想に見せつつ、同時に実に頭が悪そうに描写しており、軍隊的な物に対する嫌悪感を執拗に演出した皮肉のこもった作品となっており、ある意味反戦映画と言えなくもないのであるが、これも原作同様無理解な批評が多い。

2003年の実写テレビ映画『スターシップ・トゥルーパーズ2』も同様の世界観を踏まえたもので、人間に寄生する「パラサイト・バグ」など、原作小説にはなかった存在が登場する。

2008年、「スターシップ・トゥルーパーズ3」が、前2作で脚本を務めたエド・ニューマイヤー監督で、再度実写映画化された。ストーリーはオリジナルで、1作目の11年後の話になっており、主演は1作目と同じキャスパー・ヴァン・ディーン。実写映画では初めてパワードスーツが登場するが、操縦が必要な点は原作と異なる。軍国主義に対する皮肉のこもった作品なのは1作目と同様である。

アニメ版

1988年、日本においてOVA宇宙の戦士』としてアニメ化された。製作はサンライズで、後にTV放映も行われた。 「軍隊における青春物語」としての性質が強く、また原作における思想は全く語られず、翻案作品といえる。パワードスーツのデザインはハヤカワSF文庫版同様に宮武一貴であるが、リファインされている。

1999年、アメリカにおいて映画版の世界観を受け継いでフルコンピュータグラフィックスアニメーション作品の『スターシップ・トゥルーパーズ・クロニクル』が制作され、テレビシリーズで放映された。原作小説にない独自のキャラクターたちからなる小隊を主役に、その小隊が転戦していく連続ドラマとなっている。ここでは、メックと呼ばれる歩行兵器や、惑星軌道上から落下降下(着地前に逆噴射を行った後に、爆散除装する)を行うアーマードスーツが登場する。原作に登場したような標準的な歩兵装備としてのパワードスーツは登場しない。一方、敵である「バグズ」には、原作小説になかった様々な亜種が登場する。

脚注

  1. ^ 日本語訳としては1977年のハヤカワ文庫版以外に、1967年に新書版ハヤカワSFシリーズで出版されていた。

関連項目


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