性同一性障害 とは?ページ内リンク ↓ウィキペディア(Wikipedia)記事 ↓Yahoo!知恵袋性同一性障害(せいどういつせいしょうがい、Gender Identity Disorder)とは、生物学的には完全に正常であり、しかも自分の肉体がどちらの性に所属しているかをはっきり認知していながら、その反面で、人格的には自分が別の性に属していると確信している状態(日本精神神経学会)を指す、病名あるいは障害名である。 出典: 『ウィキペディア(Wikipedia)』 性同一性障害 出典: 『はてなダイアリー』 関連商品
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性同一性障害(せいどういつせいしょうがい、Gender Identity Disorder)とは、生物学的には完全に正常であり、しかも自分の肉体がどちらの性に所属しているかをはっきり認知していながら、その反面で、人格的には自分が別の性に属していると確信している状態(日本精神神経学会)を指す、病名あるいは障害名である。
しばしば簡潔に「心の性と身体の性が食い違った状態」と記述される。症状の度合いは、自分の持つ外性器に非常な嫌悪感を持ち外科的処置を必要とする状態から異性装を行うことで耐えられる状態まで様々である。
同性愛と混同されることがしばしばあるが、意味合いは大きく異なる。
目次 |
生物学的概念としての男女のいずれかの身体形状に正常に属す身体をもっているにも関わらず、性自認がそれと一致していないことを訴える症例を総じて性同一性障害と称している。なお性自認とは、「自分のことを男と思っているのか、女と思っているのか」という自己イメージのことを指す(性自認参照)。
DSM-IV(精神疾患の分類と診断の手引き)においては「臨床的に著しい苦痛または、社会的、職業的または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている」という一文が付記される。
日本国内における性同一性障害への医療的アプローチの基準である、日本精神神経学会の「診断と治療のガイドライン」によれば、性同一性障害の診断は次のように行なわれる。
なお、性別違和感に要求される「継続性」については、ICD10の性同一性障害の項に書かれている「2年間以上」という基準が参考にされることが多い。
以下は、性同一性障害によって引き起こされがちな症状とされるものである。
なお、全ての性同一性障害者に全ての症状が現れるとは限らない。
また、「性同一性障害によってこれらが引き起こされる」とする考えがある一方、逆に「これらの症状が先にあり、その症状の具現化したものの一つが性同一性障害」とする見方もある。
性同一性障害者のジェンダー意識のあり方は様々である。
これらの間の、無数のパターンがあり得る。
「診断と治療のガイドライン」第1版が提出された当初、「職業的利得を得るために反対の性別を求めるものではないこと」という一文が問題となった。ニューハーフやオナベといった職業に就いている者の一部には、性自認と身体の不一致に苦しんでもいる者もいるからである。彼らは「自分たちの状態は職業的利得を求めてのものと解釈され、性同一性障害としてのケアの対象にはならないのか」とこの文言に疑問を投げかけた。
ガイドラインの策定において「職業的・社会的利得」と考えられたのは、日本でいうところのニューハーフやオナベではなく、他者による強制的な性転換であった。比較的貧困で、売春以外観光の呼び物が極端に少ない地域で、そういったことは発生してきた。売春は、男性型の身体より、女性型の身体の方が単価が高く、需要もあることから、若年の間に去勢をし、十代後半になると性転換手術を受けさせ、売春をさせるという行為が多く見られ、それを防ぐための文言だった。
「職業的・社会的利得」という文言がニューハーフやオナベの職に就く人々を性同一性障害診療の場から排除するかのように解釈されるのを防ぐため、ガイドライン第2版では「なお、このことは特定の職業を排除する意図をもつものではない」と明記された。
(なお、ニューハーフやオナベの職に就いている者が全員性同一性障害者である、あるいはその逆という風に職業的異性装と性同一性障害を混同する向きもあるが、これは誤解である。)
一般的に「自分 のことを男と思っているのか、女と思っているのか」という自己イメージのことを性自認と称する。
性自認がどのように決定されるかは不明である。
性自認は染色体、性腺、ホルモン、内性器、外性器、ジェンダーパターン、性役割・性指向のいずれからも独立していることが条件とされる。
詳細は性自認の記事を参照。
一般では、性同一性障害当事者は男性または女性の二性別のどちらかを性自認していると考えられているが、実際の診療の場では、性自認が中性や無性、それ以外の者も存在する。しかし、「男女のどちらでもない」彼らの場合、例えば中性を性自認する者は現在の社会で生活する上で絶えず他者の「男性か?女性か?」という目にさらされることになるため、男性もしくは女性としての性役割を演じることとなり、また無性の場合は肉体や性役割の想定が難しく、対応が難しいのが実情である。
性自認の意味で「心の性」という言葉が使われることもある。
これにより、性同一性障害は、しばしば簡潔に「心の性と身体の性が食い違った状態」と記述される。
ただしこの「心の性」という表現はジェンダーパターンや性役割・性指向の概念を暗黙に含んでしまいがちであるため、同性愛と混同するなどの誤解を生じやすい。また気持ちの問題と誤解される事も多い。
性別の判定をなすための特徴が一方の性別のそれのみによって閉められていない身体(特に外性器)を持つ状態を半陰陽 (intersexual) と称する。
性同一性障害者の肉体は半陰陽ではないとする見解が主流である。ただし、一部に半陰陽者であっても性同一性障害者としての扱いを受けてしかるべきであるとの見解もある.
また性自認の考え方は、半陰陽のケースにおいても自己を特定の性別で認識しているという状態を説明するために導入された概念モデルが始まりである(Stoller, 1963-1964)。
性自認を脳の状態に帰着させる考え方をとる人もいる。この立場から、性同一性障害を「身体の性別と脳の性別の不一致の状態」と説明する人もいる。これは、性同一性障害の原因としてしばしば言及される「ホルモンシャワー説」(後述)にもつながりうる考え方である。ただし専門的には、現時点では立証されていない仮説である。
性同一性障害者の脳の形状や微細な構造等が、性同一性障害者でない者のそれと異なるか否か、また仮にその差異が存在するとしてその差異が先天的か後天的か、これらについても現時点では検証されていない。ただし、死者の脳の解剖から、GID患者と健常者との比較において脳内の特定部位の形状の差異が見られた例は、以前から複数報告されていた。またその後、目覚ましい医療技術の発達、特に2000年以降の高分解能MRIによる生体研究により、生きている状態での脳の研究が飛躍的に進み、その中でMtFおよびFtMに対する性ホルモン投与前・投与後の脳容積の変化・可塑性などが確認されている。
後天的要因が元となり、例えば性的虐待の結果として自己の性を否認する例は存在する。また、専ら職業的・社会的利得を得るため・逆に不利益を逃れるために反対の性に近づくケースもある。
しかしながら、このようなケースは性同一性障害とは呼ばない。一般には、性同一性障害者は何か性に関する辛い出来事から自己の性を否認しているわけではなく、妄想症状の一形態としてそのような主張をしているわけでもなく、利得を求めての詐称でもなく、(代表的な症例では出生時から)自己の性別に違和感を抱き続けているのである。
なお現在、性的虐待と性自認の揺らぎの相関に否定的な考え方も出てきている。というのは、「性に関する何かの辛いできごと」があっても、実際には性自認が揺らいでいる人は決して多くはなく、性同一性障害当事者の多くは「性に関する何かの辛いできごと」がまったくなかったと認識していることが圧倒的に多いからだ。現在、「性別違和を持った当事者が、何らかの性的虐待を受けた」という考え方に変更されてきている。フェミニズムカウンセリングの場では、この考え方が支持されている。
性同一性障害者も一般の男女と同じく、「自分の心理的性別に相応しい服装を好み」(男装や女装といった異性装ではない)、「自分の心理的性別と反対の性を恋愛対象とする」(異性愛)ケースが多い。そのため、身体的性別を基準にして観察すると「異性装を好み」「同性を恋愛対象とする」ように見える。
しかしながら、性同一性障害者の中にも一般の男女と同じく異性装者や同性愛者が存在するので、必ずしも上記の限りではない。
混同されがちであるが、性同一性障害と同性愛や異性装とは、それ自体は全く独立した別個の現象である。
そのほか、性同一性障害に関連する重要な用語を挙げる。
原因は解明されていないが、以下のような説が広く語られている。現在、性同一性障害に直接関わる医療関係者や性同一性障害当事者の間では、前者が広く支持されている。またどちらの説も、性同一性障害者の全てを説明し尽くすものにはなっていないとされる。
これを「ホルモンシャワー説」と称することがある。ハリー・ベンジャミンが、この説の発祥と言われている。
上記とは別に、本来の男性が「自分は女性」と思いこむ(あるいはその逆)形で「解離性障害」が発症したものが性同一性障害であるとする考え方もある。
しばしば、性同一性障害は親から子へ遺伝するのかという心配をする人も居るが、現在では遺伝する性質の疾患ではないと考えられている。
性同一性障害を大まかに一次性・二次性の2つの亜群に分類することがある。中核群・周辺群という分類をする医師もいるが、これもほぼ同様のものであると考えられている
ただし一部の医師は、中核群・周辺群を、自性器嫌悪が激しく性別適合手術を強く望むグループと、自認する性の服装・文化的生活・第二次性徴の除去(MtFでは鬚の除去や声の高音化、FtMでは乳房除去や声の低音化等)・自己の自認する性の第二次性徴の発露程度(MtFでは女性化乳房、FtMでは鬚や筋肉質の身体形状)までで満足するグループとの分別に、この対概念を用いている。
一次性(プライマリ)の場合、小児期または青年期前期に発症し、青年期後期または成人期に受診する。身体的性別と反対の性自認を確固たるものとして持っていることが多い。
二次性(セカンダリ)の場合、発症はやや遅く、壮年期や、老年期に近くなることもある。当初は症状が異性装として現れることが多いとも言われる。性自認が確固としたものでなく揺れていることもある。
FtMは比較的均質であると言われ、一次性に属するケースが多い。MtFでは症状がより多様であり、二次性も多く見られる。
これらの分類は症例を検討する際にはある程度有用であるとみなされ、多くの論文で言及されている。一次性と二次性は症状が似ているだけで本質的に異なる疾患なのではないかと考える者もいるが、一方では、症状が表面化した時期が異なるだけで本質的には同じであると考える者もいる。
性同一性障害当事者の中には、このような分類を適切でないと考える者もいる。過去に、医療者が治療の対象を一次性の中の極めて典型的な症例のみに限定しようとしたことがあるという事情や、それを背景として一次性の当事者の一部が二次性の当事者に対して差別的であったこと、一次・二次という表現が質的相違を示唆するが現に観察されているのは発症が早期か中・後期かという時間的差異でしかないので不適切である(二次性の患者でも性別適合手術まで求め性自認も確固としている者も少なくないからである)、というようなことが影響している。
精神療法としては、当事者のQOL(生活の質)の向上を目的として次のようなことを行なう。
これらの作業は性同一性障害かどうかの診断と重なる部分もあるので、平行して行われることも多い。
性自認を身体に一致させる方向の精神療法が正しく、また低コストであると考える人もいる。しかし、幾つかの理由から現在の精神療法は性自認の変更を目的としていない。
身体的性別とは反対の性ホルモンを投与することで、二次性徴の一部を性自認に一致させようとするものである。MtFに対してはエストロゲンなどを、FtMに対してはアンドロゲンなどを用いる。特に、体型が性自認に一致した性に近づくことが多いため、その性に合わせた社会生活を容易にするとともに心理的な葛藤を改善する効果が認められている。
ホルモン投薬の効果は血液を採取して性ホルモンの血中濃度を定期的に監視することによって評価される。ホルモン療法における血液検査は治療目的の検査であっても今のところ健康保険が適用されない。肝機能障害などの一般的な血液検査に比較して費用が桁違いに高額であることから健康保険の適用を望む意見が多くある。
投与形態としては注射剤、添付薬、経口剤があるが、日本においては注射剤が一般的である。注射剤が最も副作用が少ないが、長期にわたる注射のために、注射部位(多くは三角筋あるいは大臀筋)の筋肉の萎縮を引き起こすことがある。全ての事例に於いて頻繁にみられる副作用は肝機能障害であり、そのリスクは経口剤が一番高い。詳細は事例ごとに異なるが、注射剤を用いる場合、1週間から3週間毎の通院が必要で、費用は1月あたり2,000円から10,000円程度である。
解剖学的男性にエストロゲンを投与した場合、次のような作用がある。
解剖学的女性にアンドロゲンを投与した場合、次のような作用がある。
これらの作用は性同一性障害者に生じた場合には性別違和感を改善し、葛藤を少なくする効果がある[要出典]。しかし、それ以外の者に対して反対の性の性ホルモンを投与し上記の作用を生じた場合、自己同一性を脅かし性同一性障害に似た深刻な問題を引き起こすこともあるので注意が必要である。
また上記の内、髭・乳房・排卵への影響は復元に困難が伴い、変声・精巣への影響は数ヶ月以上投与を続けるとほぼ不可逆である。
そのため、ホルモン療法の選択に当たっては性同一性障害にあたることを十分に確認した上で、本人に慎重に判断させる必要がある。「診断と治療のガイドライン」では、ホルモン療法を第2段階の治療としている。第1段階(精神療法)を一定期間受けた後に希望する者に対してのみホルモン療法を行なう。
医学的対処を求めて受診する性同一性障害者の中には、早急なホルモン療法の適用を望む者も多い。しかし、このような事情から現在、ガイドラインに沿った治療においてはこれは認められていない。他方で,男性化した身体は不可逆的であることから,せめて女性化を促すのではなく単に男性化を一時的に停止させる抗男性ホルモン剤の使用はより広く特に未成年者に認められるべきであるとする見解もある。
FtMの場合、アンドロゲンを投与しても乳房の縮小はほとんど起こらないので乳房切除術が必要となる場合がある。
乳房が小さい場合には乳輪の周囲を切開して乳腺など内部組織を掻き出し、余剰皮膚を切り取る方式をとる。これは瘢痕が目立たない。
乳房が大きい場合や(乳房を不快に思って圧迫するなどにより)下垂している場合には、乳房の下溝に沿って皮膚を切開する方式を用いる。乳頭は一度遊離させて適切な位置に移植する必要がある。瘢痕が目立つことも多い。
2003年3月の埼玉医科大学総合医療センターのデータでは、入院期間は平均3.8日、費用は個室代を含めて平均55万4千円であった。岡山大学ジェンダークリニックのデータでは、費用は局部麻酔を使用した場合22万ないし23万円、全身麻酔の場合で40万円弱であった。
MtFの場合、精巣の摘出、外陰部形成、膣形成、陰核形成を行なう。FtMの場合、卵巣・子宮の摘出、膣粘膜切除・膣閉鎖、尿道延長・陰茎形成を行なう。
詳細は性別適合手術を参照。
これら、ホルモン療法・手術などに対しては、そもそも否定的な見解を持つ医療関係者も少なくない。特に、性同一性障害を「解離性障害」に帰着させる視点からは、これらは、自傷行為の支援ととらえることもしばしばある。
また、それら治療によって「心の性別」での生活が可能となることによってもさまざまな問題が起こる場合がある。
たとえば公衆浴場やトイレなどの利用が問題となる。これらは本来、戸籍上の性別に沿ってのみ使われることを想定したものであるが、たとえ治療を行って外見上異性に見える性同一性障害者であっても、戸籍訂正前の段階で本人の心の性に従いこれら公共施設を使った場合には(厳密に言えば)法律違反となってしまう。
このような視点から考えると治療は単なる犯罪支援と解釈することもでき、この点に関する批判も多い。このように、治療によって道徳的な問題が発生する可能性が高い。確かに本人のQOLは増進されるかもしれないが、周囲のQOLを格段に低下させる場合も考えられるのである。たとえば後述するように「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」に関しては、実際に多くの性同一性障害者と彼らの家族との間にも摩擦が生じている。
そもそも「治療」と呼ぶに足りるだけの科学的根拠にも乏しい(本質的な部分は未解明)ため、性同一性障害者をそこまでして本当に受け入れるべきなのかという疑問も残る。しかし、一般にはまだ「差別はいけないことだ」というタブロイド思考が根強いため、治療に関する問題点を積極的に指摘するメディアや医療関係者はまだ少なく、また一般国民もこのような性同一性障害者をとりまく環境に対して正しい知識を持っているとは言いがたいのが現状である。
しかし、医療関係者の中には「治療」という名を借りた自傷行為および犯罪行為の支援だという意見を持ったものは少なくない、という事情は決して無視できるものではないことも確かであり、このことは特筆に価する。
アメリカの統計においてはMtF-GIDは3万人に1人、FtM-GIDは5万人に1人と言われているが、もっと多いという説も存在する。日本国内には2200人~7000人程度が存在すると見積もられている。
MtFがFtMよりも多いことやFtMに一次性のケースが目立つことの理由に関して、様々な説がある。
尚、他にも以下のような俗説があるが、医学上の見地から誤りであるとされている。
→人間の場合、受精卵にSRY遺伝子(Y染色体に含まれる)の働きかけがあれば男性として、なければ女性として生まれる。女性が男性に作り変えられるということはない。詳細は「性染色体」および「Y染色体#性決定」を参照。
ただし、2008年現在の日本国内での状況はこういった上記の数字とは反対に、FtMの受診者数のほうが多い状況である。
日本精神神経学会・性同一性障害に関する委員会(中島豊爾委員長)の調査速報値
2007年度末までの全国統計 全国の主要専門医療機関受診者総数7177名
- MTF:3031名
- FTM:4146名
調査対象は、岡山大や埼玉医大、大阪医大、関西医大など全国九つのジェンダークリニック。一人の患者が複数の機関で受診しているケースも含まれている。
2008年度GID学会での報告
- 岡山大学病院 MtF:345名 FtM:572人(1998〜2008.2 総受診者のうち、GIDが疑われた総数)
- 札幌医科大学付属病院 MtF:83名 FtM:197名(GID外来開設〜2007.12、総受診者数)
- 大分大学付属病院 MtF:7名 FtM:27名(2003〜2008.2 総受診者のうち、GID診断総数)
- 長崎大学付属病院 MtF:36% FtM:64%(2004〜2007.12における初診症例数の構成比)
- あべメンタルクリニック MtF:993名 FtM:1013名(1996.3〜2008.2。相談件数)
- 川崎メンタルクリニック MtF:292名 FtM:401名(2000〜2007 総受診者のうち、GID診断総数)
性同一性障害に伴うトラブルなどを理由にして行われた懲戒解雇が解雇権の濫用にあたるとされた裁判例がある。それが 2002年の性同一性障害者解雇無効事件(懲戒処分禁止等仮処分申立事件、東京地方裁判所平成14年(ヨ)第21038号、東京地裁平成14年6月20日決定 労働判例830号13頁掲載)である。この事件は、男性として雇用された被用者(原告)が女性装での就労を禁止する服務命令に違反したことを理由の一つ(ほかにも4つの理由が挙げられている)として懲戒解雇されたことに対し、従業員としての地位保全および賃金・賞与の仮払請求の仮処分を申し立てたものである。東京地裁は、性同一性障害である被用者が女性の服装・化粧をすることや女性として扱って欲しいなどの申し出をすることは理由があることだとした。そして、使用者側(被告)は被用者(原告)からのこうした申し出を受けた後も善後策を講じなかったことや、女性の格好をしていては就労に著しい支障を来すということの証明がないことを指摘して懲戒解雇を権利の濫用であるとして無効とし、賃金の支払いを命じた。[1][2][3][4]
上記のように性同一性障害に対する社会的な理解が高まってきている現状があるが、当事者の視点に立つと、社会における制度面で彼、彼女らを受け入れる環境は未整備であるとも指摘される。上述のような犯罪者に対してはある程度の公益性に基づいた制約は致し方ないとしても、犯罪者ではない性同一性障害者が不利益に甘んじなければならない状況が放置されていると言われる[要出典]。
例えば、公衆トイレや浴場の利用において、彼女・彼らは常に羞恥と違和感を感じることを強いられる、あるいは困難に直面する可能性がある。たとえばMtFの場合、女性用のトイレなどに立ち入った場合、性犯罪ととして逮捕されるリスクを常に負わされている。この場合、誤解が解けるまでに長期間留置されることも想定できる(これに対しては公的機関が当人が性同一性障害である旨証明するIDを発行するなどのアイデアを提示する人もいる)。逆に、すでにホルモン投与が始まっているMtFが男性用公衆浴場に入った場合、変化してくる乳房に好奇な目線を向けられ、騒がれる可能性がある(同様にFtMが女性浴場に入った場合には声とひげなどに同じような注目を浴びる可能性がある)[要出典]。
他方、例えば一般的な女性の視点にたつと、MtFが女性用トイレ・女性用浴場を利用しにくることを受容できるかどうかについては、否定的な見解が語られることが少なくない。これに限らず、受容する側(性同一性障害者ではない人)の心理や負担については、現在十分な議論が尽くされていないと言っても過言ではない。いわゆる特例法も含め、一般的には受容する側は常に、一方的に被害者になっているとの見解の存在も無視できない。他方、それらは当然人権を有する人としての性同一性障害者の人権軽視の上に得てきた受容者側の既得権益であるから、それらへの制約は当然であると論じる者もいる。また、人権ということをふりかざす事によって、犯罪行為や迷惑行為を助長してする政策がとられてもよいのか(これらは性同一性障害者当事者の行為であるとは限らずそれを装った、あるいはそうであると自己誤認した者の行為である可能性も大きい点には注意したい)という点については一考の余地がある。
「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が成立した当初、婚姻している者、子供のいる性同一性障害者は性別を変更できなかったため、法律の改正を訴える動きがあった。それらの声を受け、2008年6月、「現に子がいないこと」の要件は「現に成人していない子がいないこと」に改正された。この流れを受け、さらなる要件緩和を求める動きをみせる人がいる。その一方で、子供をもうけた性同一性障害者の家族(妻たちなど)から「家庭秩序に混乱をきたす」として反対の声も年々増えてきている。
性同一性障害者は何もしなければその身体的性別に応じて、自己の性自認とは異なる性として扱われることになる。これは多くの場合強く恒常的なストレスをもたらすが、性別違和感などの症状が軽い場合、あるいは性別変更を行う肉体的条件が整わない場合には、何らかの方法でストレスを解消することによりそのまま生活できることもある。
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10代未満の性同一性障害者の存在が、メディアで紹介されることがある。日本においても、小学校低学年の男児が「女児として」学校生活を送っている例が紹介されたことがある。アメリカのテレビ番組では、女児として幼稚園に通う男児、女児として小学校に通う男児が紹介され、本人・家族の直接インタビューが紹介されることもあった。
いずれの事例も、家族・学校などが、当事者を全面的にサポートしている。一方、当事者の身体が二次性徴を迎えた時期の状況変化を危惧する感想を寄せる人は少なからず存在する。他方、「ブレンダと呼ばれた少年」事例等を根拠に、それが幼少期特有の性自認の揺らぎに過ぎないのであれば、不可逆的介入がなされていないことから、思春期以降本来の性自認が安定しそれにそぐう生活を送る事が出来るはずであるので大きな問題はないと考えるものも存在する。
性同一性障害者ないし、性同一性障害と見られる人物が登場する作品。
TVドラマ
映画
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小説
漫画・アニメ