明和電機(めいわでんき、Maywa Denki)は、 土佐 信道(とさ のぶみち)プロデュースによる、中小電機メーカーを模した芸術ユニット。所属事務所は吉本興業。作品制作のほか、音楽活動、舞台パフォーマンス、タレント活動も行っている。
メンバー
- 現在の明和電機「代表取締役社長」かつ唯一の自称「正社員」。兵庫県赤穂市出身。広島県立呉三津田高等学校を経て、筑波大学芸術研究科修士課程在学中に魚器シリーズの源流となる作品を発表し、兄・正道を引き入れ明和電機を結成した。
- 元「代表取締役社長」、現「会長」。兵庫県赤穂市出身。広島経済大学経済学部中退。2001年に「定年退職」の名目で一旦脱退し、アーティスト・グループ『昭和40年会』に参加(2008年に脱退)する一方、デジタルコミック『週刊少年タケシ』他で独自に作品発表、音楽活動などを行う。
他に明和電機の中核をなす人物として「東京人材派遣センターより出向してきた“経理”」を自称し、ディレクション、楽曲の編曲や楽器演奏などを手がけるヲノサトル、『ビットマン』など電子回路を応用した作品の開発支援に携わるデバイス・アーティストのクワクボリョウタらがいる。また、初期の楽曲やライブには女性コーラスグループ「ナッパーズ」(名前は女性制服の“ナッパ服”に由来)が参加していた。現在も作品制作やライブパフォーマンスに携わるアシスタントが数名雇用されており、工員A・B・C…と呼ばれている。
略歴
- 1993年5月 土佐正道(兄、社長)土佐信道(弟、副社長)からなる明和電機を結成
- 1993年9月 ソニー・ミュージックエンタテインメント主催 第2回アートアーティストオーディション 大賞受賞、1994年より1998年9月まで専属芸術家となる。
- 1995年10月~1996年3月 テレビ東京『タモリの音楽は世界だ!』に出演。
- 1996年1月 アルバム『提供 明和電機』でCDデビュー。
- 1996年4月 作品のひとつである魚骨型電源延長ケーブル『魚(な)コード』を量産化、レコード店で発売。
- 1998年10月 ソニー・ミュージックエンタテインメントがアート事業を撤退。あらたな所属先として吉本興業に移籍。
- 2000年 グッドデザイン賞を人間として初めて受賞(新領域デザイン部門)。
- 第3回文化庁メディア芸術祭 デジタルアート・インタラクティブ部門優秀賞を受賞。
- 2001年4月 土佐正道が「定年退職」。土佐信道が「代表取締役社長」に昇格。
- 2003年 アルス・エレクトロニカ インタラクティブアート部門準グランプリを受賞。
- 2004年3月 一年間の活動を総括する『事業報告ショー』を開催(以来、年1回定期開催)
- 2004年 創業以来最大の規模の展覧会『ナンセンス=マシーンズ展』が広島・東京にて開催(2006年夏には鹿児島県の霧島アートの森でも開催)。
- 2007年7月~8月 『ナンセンス=マシーンズ展』が岡山県で開催。
- 2008年3月 事業報告ショーにおいて、土佐正道が前年の父・阪市逝去により空席となった会長職に就任する形で復帰。
中小企業を模したスタイル
明和電機の名は、土佐兄弟の父親・阪市が過去に兵庫県赤穂市にて経営していた電機部品メーカー、有限会社明和電機(1969年創業、1977年廃業)の名前に由来する。明和電機の活動はその中小企業風の名前に合わせ、作業服をまとい、社長、副社長、経理、工員(アシスタントに相当)と互いを呼び合って行われている。作品は「製品」と呼ばれ、ライブは「製品デモンストレーション」と呼ばれる。とはいえ作品の多くは一点物であるが、「製品」のうちいくつかは実際に注文生産、あるいは工業生産に向くように改良のうえ大量生産され販売された。
「やったもんがち、とったもんがち」という社訓のもと活動。活動方針として「やりにげ」を掲げている。
2004年より年1回開催されている『事業報告ショー』は、企業における事業報告会のスタイルを模したものになっており、パソコンを使用したプレゼンテーションなど、随所に明和電機流の「やりにげ」精神が盛り込まれている。
広告デザイン
明和電機における広告デザインは、93年のオーディション大賞受賞時から現在に至るまで、デザイナーの中村至男が担当している。単なる悪ふざけに終始しないという考えの下、大企業の広告戦略並の注意が払われている。また、展覧会ポスターなどに使われている写真は主に、三橋純が撮影している。ごく最近まで写真合成を使わず、ほとんどは現場での一発撮影である。
主な作品
特に説明のない場合、作品名に続くアルファベットは作者が付与した「製品型式」であり、作品名の一部である。作品は工業製品の体裁を取っており、「アトリ工」(工業の工の字を当て、アトリコウと読む)でABS樹脂、アルミニウムなどを用いて制作されている。
魚器(なき)シリーズ
魚器シリーズは人間を魚に比喩し単純化することで理解することを目的にした、魚骨をモチーフにした作品群。魚器図鑑の発表をもって完結した、明和電機の代表作である。
- ハンマーヘッド(NAKI-AX)
- ホルマリン漬けの鯉をパンチカードに従い電気制御し、管理社会を象徴する。
- ハリセンボンブ(NAKI-BX)
- カウンター付きの収納式ハリセンで、暴力と笑いによるコミュニケーションの潤滑を図る。
- コイビート(NAKI-CX)
- 鯉に見立てて並べられた電気スイッチのオン・オフの組み合わせをスキャンし、ツクバシリーズの楽器を制御するリズムマシン。
- ちっコイビート(NAKI-C1)
- コイビートの縮小版。
- 魚コード(NAKI-DX)
- 存在感を主張する魚骨型電気コード。意匠登録認可。素材を変更し市販された。
- ウオノメ(NAKI-EX)
- 魚の視界をシミュレートする器具。意匠登録認可。
- グラフィッシュ(NAKI-FX)
- 時間軸を持つ魚拓。
- 金魚のフン(NAKI-GX)
- 金の粒を表現者が飲み込み、排泄し回収する。
- 肺魚(NAKI-HX)
- 魚の浮袋が納められた瓶の気圧をシリンダーで変化させ、操られる生命を象徴する。
- イクラホウ(NAKI-IX)
- スーパーボールを連続40発発射する装置。
- ドスコイ(NAKI-JX)
- 小刀(ドス)が上下しながら走行し、紙を切り刻む装置。
- グラスカープ(NAKI-KX)
- ガラス側を回転させるグラスハープ。意匠登録認可。
- 放電魚(ほうでんな)(NAKI-LX)
- 電流が流れライトが光る鉄琴。
- リングリン(NAKI-MX)
- 腕にうろこ形の「ヤキ」(あざ)を作る。
- 魚打棒(NAKI-NX)
- 魚をしめ、かつ本体にその魚を納めることができる。
- オタクギョタク(NAKI-OX)
- 1000匹の架空の魚を描いたもの。
- パチモク(NAKI-PX)
- 指パッチン(弾指であるとも説明される)で作動するコントローラを使って、ムーブメントの先に付いた木魚を鳴らす楽器。代表作の一つ。
- 雷来剣(らいらいけん)(NAKI-QX)
- 雷が落ちると雷様に向かって剣が飛ぶ避雷針。
- タコニワ(NAKI-RX)
- 水槽内の魚の泳ぎに連動して電源をコントロールする装置。
- サバオ(NAKI-SO)
- 人間と魚類の中間の顔をした13週目の胎児に似せて作られた、ピストル型腹話術人形。1995年7月、展覧会内で40体が制作され「里親に出」された(限定販売)。
- 魚立琴(なたてごと)(NAKI-TX)
- 魚型の電動琴。
- ウケ-テル(NAKI-U1)
- 受話器を取って時報を聞くと水槽に針が落ち、魚の命に偶然を介して間接的に鑑賞者が関わる。
- 魚型ボタン(なかたぼたん)(NAKI-VX)
- LEDが光る洋服のボタン。
- コイブミ(NAKI-WX)
- タコニワと組み合わせ、無意味な文章を打たせる自動タイプライター。
- 聖魚(せいぎょ)(NAKI-XX)
- 魚が進んだ方向に動く自動走行型水槽。
- 弓魚 1号(NAKI-YX1) 2号(NAKI-YX2) 3号カブラヤ(NAKI-Y3)
- 脊髄が矢になった、魚骨型の弓矢。
- 明和電機魚器図鑑(NAKI-ZX)
- 作品解説が収められた本。(書誌情報を主な著書に示す)
ツクバシリーズ
ツクバシリーズは100V交流電源で機械駆動する、アナログな動作を特長とする楽器シリーズ。代表作に『ギターラ(仮称)(MI-01)』、『ゴムベース(MI-02)』(実用新案登録)、『タラッター(MI-03)』(全自動タップダンス靴)、『武田丸(MI-09)』(ヤンキーホーンで出来たサックス)など。パチモクやコイビートなどと組み合わせ、舞台パフォーマンスや音楽活動に用いられている。この楽器群を用いて制作された音楽ジャンルは「ツクバミュージック」と自称されており、CDも発売されている。
エーデルワイス
エーデルワイスシリーズは、女性が支配する架空の都市と美をめぐるストーリーを元に作られた作品群。マツモトキヨシで買い占められた化粧品などを納めた試験管を連続発射する『末京銃』(まつきょうじゅう、マツモトキヨシの愛称である「マツキヨ」に由来)などがある。
アルクラッシィ
アルクラッシィシリーズは、「明和電機のある暮らし」をもじった「ARCLASSY」(社長による造語)からきている。魚器シリーズから市販された『魚コード』を初めとして、ダイヤル電話型の腕時計『ジホッチ』、チャンネル式テレビリモコン『ガチャコン』など、普段の生活にある明和製品をイメージして作られている。
音楽活動
シングル
明和電機唯一のシングルCDで、ミニアルバム「魁 明和電機」にも収録されている。
アルバム
- 提供 明和電機 - 1996年
- 御中元 明和電機 - 1996年
- 魁 明和電機 - 1997年
- 俺は宇宙のファンタジー - 1997年 (李博士とのユニットアリラン明電名義)
- 道 - 1998年
- 以上5作がソニー・ミュージックエンタテインメントから。オリジナルは廃盤であるが、2005年発売『GOLDEN☆BEST ALL OF 明和電機』に全音源(及びボーナストラック)が収録されている。
ビデオ・LD・DVD
- 明和電機画報(1〜3)
- 魚器:26のナンセンス=マシーン
- メカトロニカ
- 明和電機のナンセンス楽器
主な著書
主な出演作品
テレビ番組
CM
映画
以下は土佐信道名義で出演。
関連人物
- ヲノサトル - 明和電機「経理のヲノさん」。ディレクション、演奏など担当。
- クワクボリョウタ - 一時、研究生として明和電機に在籍。ビットマンなどの共同開発を行う。
- 野畑桂子・白土直子(SET)・丸山優子(SET) - 「ナッパーズ」として楽曲やライブに参加。
- アニエス・ベー - 明和電機の熱心な支援者であり、衣装(作業服)の提供、アニエス・b店舗での作品展示などを行っている。
- 石井竜也 - 監督映画「河童 KAPPA」にて明和電機デザインの楽器を使用。
- しりあがり寿 - 明和電機のシンボルマーク、カッパマークをデザイン。
- 谷川俊太郎 - 絵本「すーびょーるーみゅー」共作。
- 杉木ヤスコ - 土佐正道と音楽ユニット・Y&M☆O(ヤスコーン&マサビッチ☆オーケストラ)を結成。
外部リンク

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