『朝霧の巫女』(あさぎりのみこ)は、宇河弘樹の漫画作品。「ヤングキングアワーズ」(少年画報社)に2000年3月号から2007年8月号まで連載された。単行本は2007年12月現在、5巻まで発売されている。
テレビアニメ化され、2002年7月から同年12月までテレビ東京の『熱血電波倶楽部』という番組内で、『陸上防衛隊まおちゃん』と共に放送された(後に一部の独立U局・新潟テレビ21でも放送された)。
物語
主人公の天津忠尋は、母親の置き手紙によって広島県三次市に引っ越して来る。
そこは従妹である稗田三姉妹が住んでいる所であり、そこに訪れたその時、正体不明の怪奇に襲われるが、迎えに来ていた稗田三姉妹によって窮地を救われる。それから毎日、忠尋は怪奇に襲われる日々を過ごす事になる。
登場人物
原作漫画とアニメ版とは各種設定が異なっている。本項では原作漫画を元に記述する。
声はアニメ版の声優表記であり、表記がない者は漫画版のみの登場。
天津家
- 天津忠尋
- (声 - 水島大宙)
- 主人公。血筋から、アルビノの外観と体質を持つ少年。彼が母の置手紙によって、数年ぶりに広島県三次市を訪れたことで物語は幕を開ける。代々「審神者(さにわ)」の能力を受け継ぐ天津家の末裔で、妖(あやかし)と朝廷、双方の注目を集めている。幼少より病弱で現在でも喘息の発作もちである。また母親に省みられず育ったためか妙に大人びたとっつきにくい面がある。
- 天津結実
- 忠尋の母親。しかし自ら産み落とした子の存在に恐怖と情愛という相反する感情を抱き、結果として母親としての責務を放棄している。その反作用もあって主君である日瑠子に絶対の忠誠をささげている。政府においては陰陽頭の重職。平田篤瀧とは旧知の仲。稗田御幸の妹。
- 天津忠寿
- 忠尋の父。妖であるこまの血を受け継ぎ、その愛情を一身に受けて育つ。しかし成長するにつけ、自分の母が人間ではないことに人知れず苦悩していた。結実との間に一子忠尋をもうけるが、審神者として長らく目をつけていた山の勢力によってかどわかされ、昭和霊崩壊の引き金となる。その際に幽世に取り込まれ、死亡。
- 天津忠明
- (声 - 井上和彦)
- 忠尋の祖父で「妖の寄る家」の主人公。父に連れられ山を降り、稗田家に居候していたが、父を追う乱裁によって父と母を惨殺され、自身も「審神者」として片目と片腕を失い、天津彦根神を失った片腕に顕現させる。その後は自らの境遇を正しく理解し、それを受け入れた。その有り様は彦根神のいたく気に入るものであったらしい。青年時には骨董屋を営む傍ら拝み屋のような仕事を請負い、こまや花於などの妖を保護していた。悲惨な最後を遂げてきた天津一族には珍しく畳の上で亡くなった。
- こま
- (声 - 堀江由衣)
- 「妖の寄る家」から引き続き登場してくる猫又の妖。ひょんな事で関わりを持ち、行き場のない自分を救った忠明を次第に愛するようになり、彼との間に忠寿をもうける。忠尋の祖母。忠明から与えられた「括り」によって霊崩壊を生き延びる。大人びた性格で、影ながら忠尋を見守っていた。かなりの親馬鹿でもある。天津の血筋にただならぬ妄執を抱く。
- 花於
- 「妖の寄る家」で忠明に保護された下駄の付喪神。忠明の死後、こまと共に各地を転々とし、忠寿が産まれたあとは彼を見守ってきた。しかし「昭和霊崩壊」の際、黄泉に引きずり込まれてしまう。幼少時の倉子とは非常に仲がよかった。
稗田家
- 稗田柚子
- (声 - 清水愛)
- 稗田家三姉妹の次女で忠尋の母方のいとこにあたる。忠尋に対し幼馴染以上の感情を持っているが、気が強く不器用なのでなかなか進展できず、やきもきしている。巫女としての潜在能力は高いが修行嫌いが祟っていま一つ実力を発揮し切れていない。主上の器となる「朝霧の巫女」として、山の勢力にその身を狙われている。
- 稗田倉子
- (声 - 林原めぐみ)
- 稗田家三姉妹の長女。忠尋や柚子の通う霞彩高校の教師で稲生神社の正式な巫女でもある。校内における妖達の跳梁に対抗して、「巫女委員会」を結成し、自ら顧問を努める。実際は政府組織の末端であり、忠尋の監視を任務としているが、親類としての情との間で苦悩している。平田とは学生時代に教師と生徒の関係だった模様。幼少時の花於との別離がトラウマとなり、「家族」に深い執着がある。愛車はマツダ・ロードスター(NB)。[1]
- 稗田珠
- (声 - 長谷川静香)
- 稗田家三姉妹の三女。しっかりもので少々おませなところがある。
- 稗田直範
- (声 - 梅津秀行)
- 稗田家家長。外から婿入りしたので妖に対する能力はない。妻である御幸や娘達を溺愛しているが御幸は公務で家にいないことが多く、娘達にも厳しい目で見られて報われない。妖との闘争のとばっちりを受けることが多い不幸な人。居候の忠尋と衝突することが多いが基本的には家族思いの善人である。
- 稗田御幸
- 柚子たちの母親で出雲の巫女。稲生神社の宮司。かなり気さくで、ともすれば子供じみた一面があり、忠尋に柚子の母親であると納得させている。こまや生前の忠寿、平田とは旧知の仲で、忠尋とこまを引き合わせる。陰陽寮ではかなり高い地位につき、妹結実を公私に渡って補佐する。自らの感情と理性にうまく折り合いをつけた大人の女性。
日本政府
- 日瑠子
- 今上天皇。麗しい少女だが過酷な運命を背負っている。
- 平田篤瀧
- 六波羅機関所属。忠尋たちの高校に教師として赴任してくる壮年の男性。豪放な性格で、忠尋の周囲をかき乱すと同時に、迷う彼に道を指し示す。倉子からは「教授」と呼ばれており、かつて師弟関係にあった模様。愛馬「冠月」をこよなく愛している。生前の忠寿とは友人だが、内心では結実に横恋慕していた。結実に対しては今でも気に掛けている描写が見られる。自らの「研究」の成果である、忠尋の審神者としての霊的クローン「神童」たちを使役する。山の勢力に対しては、冠月をあやつり四四式騎銃や九四式拳銃を手に、自ら戦場で戦う。
- 斉藤
- 警視庁抜刀隊を率いる実働部隊の長で、特徴的なマッシュルームカットをした老人。十手を用い体術や符術に精通しており相当の実力を持っている。質実剛健を絵に描いたような老将だが、失態をおかした平田に孫のプレゼント代を払わせるようなひょうきんな一面がある。昭和霊崩壊時にも医者に扮して忠寿らと接触し、主上による現世復古を防いでいる。日瑠子が幼い頃から傍に付き従い、絶対の忠誠を捧げる。日瑠子が唯一その内心の弱さを見せる相手。
巫女委員会
- 力石征子
- (声 - 茂呂田かおる)
- 巫女委員会の一員。男前な性格。柚子の親友であり、忠尋に上手く接せない彼女を励ますこともある。
- 百合草千佳
- (声 - 加藤奈々絵)
- 巫女委員会の一員。幼い外見とは裏腹に毒舌で、その口から出てくるのは過激なセリフばかりである。
- 岬原いずみ
- (声 - 神田理江)
- 巫女委員会の一員。委員中唯一の眼鏡装備者。オカルトマニアで、小柄な女の子が好き。
- 御堂志津歌
- (声 - 大原さやか)
- 巫女委員会の一員。実家はお金持ち。おっとりした天然だが、本気で怒るととても怖い。平田から神子を一人奪い取った。
その他
- 楠木正志
- (声 - 置鮎龍太郎)
- 忠尋の同級生で友人。なかなかのルックスと妖に対する術を持つ人気者。柚子に対してなぜかつっかかることが多い。その正体は乱裁道宗。自らの使命の為に忠尋に干渉するが、逆に情が生まれてしまうことになる。
- 乱裁道宗
- (声 - 置鮎龍太郎)
- 古くから天津一族に干渉している山の民の怪人。天狗の面を付け古刀を振るう。その正体は楠木正成。湊川の戦いに際して自害する際に主上と契約。記憶を持ったまま転生し続け、仕える運命となった。
- 熊沢菊里(アニメでは白山菊里)
- (声 - 西村ちなみ)
- 乱裁道宗とともに主上に使える少女。山の民最後の「朝霧の巫女」だが、能力は稗田一族より劣っている。主上の依り代として忠尋たちの高校に転校して来る。正体は楠木正季。正史と異なり妹が男装していた設定。正成と同じく主上と契約し、死と転生を繰り返しながら仕え続けている。兄を一途に慕いつづける。
- 主上
- 乱裁や妖たちの総帥。ある目的のために天津一族の審神者の能力に注目し、古くから何度も干渉してきた。その正体はスサノオ。かつて南北朝時代には後醍醐天皇に憑依していた。
- 浜路瑞穂
- (声 - 浅野まゆみ)
- 浦波雪絵
- (声 - 佐々木瑶子)
単行本
アニメ版
アニメ版の内容については視聴者の間で賛否が分かれている。なお、よく誤解されている事であるが、原作者はアニメの内容に関しては特に何もコメントしていない。ただ、DVDの特典に関連して、アニメ関係者の視聴者に対する姿勢を批判したことはある。しかし、当時の監督のHPで公開していた制作日記によると、放送前に原作者とシナリオの打ち合わせをしたり、一緒に取材旅行に行ったりということをしている。また、広島県三次市が舞台であるのにも関わらず広島にはテレビ東京系の局も独立U局も存在しない為当初は広島で放送されなかったが、のち2004年7月19日から中国放送(RCC。TBS系)にて1回2本、ほぼ毎日のペースで放送を行った。
スタッフ
放映リスト
- 其之壱「巫女三姉妹見参」
- 其之二「入学式異変」
- 其之三「巫女委員会設立」
- 其之四「巫女委員募集中」
- 其之五「集結巫女委員会」
- 其之六「巫女大修行」
- 其之七「巫術開眼」
- 其之八「ヤガレナ」
- 其之九「怪猫疾風」
- 其之拾「巫女大合宿」
- 其之拾壱「灼熱恋愛指南」
- 其之拾弐「騒乱祭囃子」
- 其之拾参「怪談海亡者」
- 其之拾四「黄昏の巫女」
- 其之拾五「転校生異聞」
- 其之拾六「征子恋文篇」
- 其之拾七「志津歌風霜篇」
- 其之拾八「昭和怪猫篇」
- 其之拾九「千夏奮起篇」
- 其之弐拾「岬原電網篇」
- 其之弐拾壱「鵺」
- 其之弐拾弐「終末序詞」
- 其之弐拾参「審神者」
- 其之弐拾四「付喪神」
- 其之弐拾五「逆襲巫女委員会」
- 其之弐拾六「朝霧神話」
主題歌
- オープニング:『faint love』(歌:林原めぐみ)
- エンディング1:『KOIBUMI』(歌:林原めぐみ)
- エンディング2:『朝未き・夜渡り』(歌:林原めぐみ)
関連商品
- 清酒「朝霧の巫女」
- 広島県三次市にある白蘭酒造株式会社が、舞台になった都市の酒造メーカーであることから「朝霧の巫女」という清酒を限定販売した。ラベルは宇河弘樹によるイラスト(漫画の登場人物とは無関係? の巫女姿)と(C)宇河弘樹/少年画報社とあり、公認商品である。広島市内の数店の酒屋で取り扱う以外に、巫女装束のウェイトレスで有名な『やすらぎ居酒屋「月天」』で飲むことができる。初期予約分には朝霧の巫女の限定絵葉書が付いていた。
- 「朝霧の巫女」ラベル限定ビール
- 同じく広島県三次市にあるベッケンビール(三次麦酒株式会社)が2005年7月末より販売している。「物怪プロジェクト三次」との協同企画。三次市内酒販店、備北交通三次バスセンター売店など取扱。店頭販売価格は500円。初期予約分には6本に1枚生ラベルシールが付いていた。
- 泡雪三姉妹
- 稗田三姉妹の名前「倉子・柚子・珠」が、三次銘菓 泡雪(小倉・柚子・玉子味がある)に由来する事に因み、三次銘菓 泡雪の箱絵を「朝霧の巫女」の絵にした商品。価格は12個入り(4個×3種)で860円。三次市十日市西にあるベッケンビールの店舗などにて発売中。
- 「稲生物怪物語」ポストカード
- 三次商工会議所が販売。中には物怪物語の絵葉書が4枚と「朝霧の巫女」登場人物がイラストされたオリジナルポストカードが4枚の計8枚入っている。価格は500円。備北交通三次バスセンター売店やベッケンビールの店舗などで取り扱い中。
- 巫女三姉妹のお守り
- 原作・アニメの舞台となった太歳神社が販売。太歳神社をバックに稗田三姉妹がイラストされた台紙と太歳神社の厄除け守りが同封。初穂料は500円。通常は無人である太歳神社境内にて授与(初穂料は賽銭として扱う)。だが、正月3が日などのイベント時は神社に巫女さんも派遣されて、神社内でこの守りを含めて大々的に授与される。普段は誰もいない静かな神社も、この時ばかりはさながら朝霧の巫女を思い出させるような光景となる。
関連項目
脚注
- ^ アニメ版では車体色がブルー、シート色がレッドとなっている。ノーマル車におけるこのカラーの組み合わせはNR-A(とWebTuneFactory車両)しかなかったようで、そこから一部で「アニメ版においてモデルとなったグレードはNR-Aではないか?」とする説も存在したようである。 また原作第1巻では珠を同乗させた同車で乱裁道宗を跳ね飛ばすカットが見られるが、そこではきっちりサイドブレーキを引いてスピンターンをかましている。
外部リンク

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