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龍村仁 /
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東洲斎写楽など江戸時代、日本を代表する版画の大半は木版画であった。複数の版木を用い多色刷り印刷を行うことが出来たが、刷るにつれ版木が磨耗するなど安定した画像を維持する為、印刷数に制限が出る。この為、現在の木版画にはシリアルナンバーなどが割り振られ、版数管理を行っていることが多い。
現在このような古い版画技法を使った木版画は伝統木版画と呼ばれ、他の木版画と区別している。版木には昔と同じように桜の無垢板が使用され、版木の厚さは版の大きさにもよるが、染料を解いた水を表面に多量に使うため反りを考慮して中判程度のものでも2〜3cmほどもある。東京の目白にあるアダチ伝統木版画保存財団が浮世絵の復刻版を制作しているが、歌麿や北斎などの原盤から新しい版木に版下を彫り師が彫り、摺り師が色摺りをし、多くの作品を復刻し仕上げている。新しい試みとしては現代の洋画家にオリジナルの版下を依頼し、それを復刻版同様に江戸時代からの技術で世に送り出している。それらの中で赤木範陸は作品「花一輪」で色の線の重なりだけで色面を表すという伝統木版画には無かった方法(理論的には印象派の点描技法に似た手法)で網膜上での色彩混合を利用し、多色木版の伝統技法とうまく合わせている。
『小学校学習指導要領図画工作編』において、彫刻刀の指導は中学年からと規定されている。そのため木版画の指導は、児童の安全に考慮して4年生で初めて行われるのが普通である。版木は安価なベニヤ板を使うことが多く、児童が彫った場所を確認しやすいよう色を塗ったものも市販されているが、後述の『彫り進み木版画』では何度もインクを洗ううちに表材が剥がれる欠点がある。
木版画は、彫刻刀の彫りあとを生かしモノクロながら立体的な世界を描き出すのが、本来の持ち味である。実際優れた指導者のいる学校や地域では、児童生徒による優れた木版画が数々生み出されている。 しかし、現行の学習指導要領では図工にかけられる時間が少ない(4年生は年間60時間、5・6年生は同50時間)こともあり、かつてのように彫刻刀の細かい技法までは取り扱えなくなってきたのが実情である。そんな実態をカバーし、さらに児童に版画の楽しみを手軽に味わわせるために現在取り上げられているのが、『一版多色刷り木版画』や『彫り進み木版画』である。
版木に下書きをし、輪郭線のみを彫刻刀で彫り、彫り残した部分に求める色の水彩絵具を載せて刷り上げる手法である。水彩絵具は乾きやすいので少しずつ刷っていく必要があり、絵柄がズレるのを防ぐためにセロテープで版木と紙を固定して行う。
黒い紙を使えばステンドグラスのような仕上がりに出来、"輪郭線のみ彫ればいい"手軽さもあいまって、4年生の初歩段階で多く行われる手法である。
詳しくは、『たのしい授業』編集委員会編『ものづくりハンドブック』第1巻および第3巻(仮説社刊・同社ホームページ)参照のこと。
『彫り進み版画』ともいう。1枚の版木を少しずつ彫っては異なる色のインクを載せて刷っていくことにより、多色刷りにしていく手法である。『版木に下書きをする』までは普通の一版多色刷りと同じだが、
以後同様に『前の色を残したい所を彫り』『新しい色を載せて刷る』工程を繰り返し、作品を完成させる。刷る時は絵柄がズレないように、用紙を机に置き、インクを載せた版木を上から伏せ(普通の版画では版木の上に紙を伏せる)、軽くなじませてから裏返し、ばれんでこすり刷り取る。どんなに注意深く作業しても多少は絵柄がズレるのだが、それにより出来る陰影が、かえって作品の味わいを深めてくれる。
彫刻刀で広い面を彫っていかねばならないこと、計画的に作業を進めていかねばならないことなどから、5年生に勧められている手法である。
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広重 花鳥風月 『梅に三光鳥』 手刷り復刻木版画 悠々洞
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