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目次 |
常温、大気圧下で僅かに青緑色を呈す透明な液体。1気圧の大気圧下での沸点は約100 °C(より正確には99.9839 °C )、融点は0 °C (実際には99.9839 °C 以下の水蒸気も、0 °C 以下の水も存在する)。3.98 °C のとき最も比重が大きく、固体は液体より比重が小さい(通常気圧において、氷の比重は0.9168 である)。そのため固体である氷は液体の水に浮き、氷に圧力をかけると融ける。これは多くの他の分子とは異なる水の特性であり、水分子間での水素結合によるものである。液体の状態では 10−7 (mol/L) (25 °C) が電離し、水素イオン(正確にはオキソニウムイオン)と水酸化物イオンとなっている。一般に無色透明と言われる場合が多いが実際にはこの電離したイオンの関係でごく僅かな青緑色を呈す。
沸点と融点が100 °C と0 °C というきりのいい数値であるのは、水の性質を基準として摂氏での温度の目盛りが定義されたためである。また、4 °C のときの1cm3あたりの質量を基準に1g(グラム)を定義したり、1gの水の温度を1K(1 °C の温度差)上げるのに必要な熱量を1cal(カロリー)と定めたりするなど、単位の基準に使われることが多かったが、不純物の存在による不正確さに加え、たとえば 1gを求める場合には、体積、圧力、温度を規定しないと正しい重量が得られないという本質的な精度の問題があるため(キログラムを参照)、近年では一意に求めることができる水の三重点が1Kの基準となるのを除けば、基準としての役割はほとんどなくなっている。
前述の通り、水は液体の方が固体よりも体積が小さい異常液体の1種としても知られる。氷が融解して水になると、その体積は約11分の1減少する。詳細については氷の項も参照。
水は比熱容量が非常に大きいことでも知られる。反磁性の性質を示す代表的な物質でもある。強力な磁界に晒された水はそこから逃れるように動くことが知られており、旧約聖書の逸話にちなみこの現象を「モーゼ効果」と呼ぶ。
また、水はマイクロ波なども吸収しやすく、電子レンジはそれを利用して加熱をしている。[要出典]
天然の水には、僅かに重水が含まれている。
| 水 (H2O) | |
|---|---|
| IUPAC名 | 水、オキシダン(系統名) |
| 別名 | 酸化水素 水酸化水素 ヒドロキシ酸 一酸化二水素 軽水 |
| 識別情報 | |
| CAS | 7732-18-5 |
| RTECS | ZC0110000 |
| 特性 | |
| 分子式 | H2O or HOH |
| モル質量 | 18.01528(33) g/mol |
| 外見 | 常温で僅かに青緑色を呈す透明の液体 |
| 密度 | 1000 kg·m−3, 液体(4 °C) 917 kg·m−3, 固体 |
| 融点 | |
| 沸点 |
100 °C, 212 °F (373.15 K)[1] |
| 酸解離定数 pKa | 15.74 ~35-36 |
| 塩基解離定数 pKb | 15.74 |
| 粘度 | 0.001 Pa·s at 20 °C |
| 構造 | |
| 結晶構造 | 六方晶系 |
| 分子の形 | bent |
| 双極子モーメント | 1.85 D |
| 危険性 | |
| 主な危険性 | 水中毒, 水死 (DHMO) |
| NFPA 704 | |
| 関連する物質 | |
| 関連する溶媒 | アセトン メタノール |
| 関連物質 | 水蒸気 氷 重水 |
| 特記なき場合、データは常温(25 °C)・常圧(100 kPa)におけるものである。 | |
水は22.1MPaの圧力をかけると374 °C (647K) まで液体の状態を保つ。これを亜臨界水という。これ以上の圧力、温度の状態の水を超臨界水という。その性質は通常の状態と異なりイオン積が高く通常の水より水酸化物イオンの濃度が高くなる。また比誘電率が低い。その性質を利用のため研究されている。
融点(1気圧では摂氏0度)以下でも凍っていない、過冷却状態の液体の水のこと。不安定であり、振動などの物理的ショックにより結晶化を開始して氷に転移する。過冷却水の入っている容器にビー玉などを落とすと、物体が底に着く前に着水点から凍結が広がり、全体がシャーベット状に凍りつく。特別な実験装置などは必要なく、家庭の冷凍庫でも実験可能。
非結晶の氷のこと。通常の氷は結晶であるが、液体からの急冷、結晶氷を加圧、あるいは気相からの蒸着などの方法により、非結晶の氷が生成される。密度の違う2つの状態が存在し、それぞれ、高密度アモルファス氷、低密度アモルファス氷という。[2]
水素と酸素の電気陰性度の違いから、水分子においては酸素原子側が電気的に負となり、水分子の形から電気双極子を形成している。さらに共有結合に使われていない孤立電子対が2つ存在する。以上から水の比誘電率は 79.87 (20 °C) と高い。このため塩化ナトリウムなどのイオン結晶の結合を破壊し、すぐれた溶媒として働く。さらに水素-酸素結合は水素結合を形成しやすく、特に電気陰性度の高く結合に利用できる電子軌道が余っている原子とは容易に水素結合を作りやすい。したがって、糖などイオン性ではない分子に対する溶媒ともなる。一方、シクロヘキサンなどの炭化水素はイオン性でなく、水素結合も形成しないため、水には溶解しない。
水は、使い捨てカイロでの鉄の酸化、6-ナイロンの合成など、化学反応の触媒としても用いられることがある。
地球上には多くの水が存在しており、生物の生育や熱の循環に重要な役割を持っている。気象学や海洋学などの地球科学、生態学における大きな要因の一つである。水蒸気は最大の温室効果ガスでもある[3]。
その97%が海水として存在し、淡水は残り3%にすぎない。そのほとんどが氷河や氷山として存在している。
| 位置 | 淡水湖 | 河川水 | 地下水浅 | 地下水深 | 土壌水 | 氷河 | 大気 | 塩水湖 | 海洋 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 存在比 (%) | 0.009 | 0.0001 | 0.31 | 0.31 | 0.005 | 2.15 | 0.001 | 0.008 | 97.2 |
このなかで、淡水湖 河川水 地下水浅が、人間が直接に利用可能な水で、総量の1%未満である。飲料水として利用できるものはさらに少ない。
地球における継続的な水の循環は水循環と呼ばれている。太陽エネルギーを主因として、固相・液相・気相間で相互に状態を変化させながら、蒸発・降水・地表流・土壌への浸透などを経て、地球上を絶えず循環している。また、この循環の過程で地球表面の熱の移動や浸食・運搬・堆積などの地形を形成する作用が行われる。
太陽系の惑星および衛星の表面に存在する水のほとんどは氷または水蒸気であり、地球以外で液体の水が存在する場所は少ない。相図からわかるように、液体の水が存在できる温度範囲は高圧ほど広くなる。逆に、火星のように気圧の低い環境では、液体の水は安定に存在することはできない。
火星の表面にはかつて液体の水があったことが判明している。
木星の衛星エウロパは、内部に液体の水からなる海があるのではないかと言われている。
2007年4月に発見された太陽系外惑星グリーゼ581cは、その質量と恒星からの距離のため、表面が地球のように岩山や海に覆われている可能性もある。
すべての既知の生命体にとって、水は不可欠な物質である。
生物体を構成する物質で、最も多くを占めるのが水である。核や細胞質で最も多い物質でもあり、細胞内の物質代謝の媒体としても使用されている。通常、質量にして生物体の70%–80%が水によって占められている。生きている細胞には(理想的な溶媒である)水が多く含まれており、生命現象を司る化学反応の場を提供し、また水そのものが種々の化学反応の基質となっている。体液として、体内の物質輸送や分泌物、粘膜に用いられ、また高分子鎖とゲル化することで体を支える構造体やレンズにも利用されている。クマムシのように厳しい環境にも耐えられる生物は、体内の水分を放出し、不活性な状態をつくり出すことができる。
なお、生物は太古の海で誕生したと考えられている。生物の化学組成と海水の組成がにていることもその根拠の一つである。従って、水中生活が生物の原始的な姿であると見てよい。
陸上のように、常に水につかっていない環境では、生物にとって最も重要な問題の一つが水の確保である。陸上の無脊椎動物では、周囲が湿っていなければ活動できないものも多い。陸上生物に見られる進化的形態の多くが水の確保や自由水のない環境への適応である。クマムシの場合も、頻繁に乾燥にさらされる環境への適応として、休眠の能力が発達したと考えられている。
特に人体においては、体重の60%を占める水のうち45%までが、細胞内に封じ込められた水で、残り15%が、血液、リンパ液など細胞の外にある水である。この細胞内液、細胞外液をあわせたものを体液と呼び、この体液が生命の維持、活動に重要な役割を果たす。
一日に排出される水の量は、静かに横たわっている成人男性で2,300mLであり、内訳としては尿1,200mL、糞200mL、不感蒸泄900mLである。1日に必要な水の量は当然2,300mLである。一般に、飲料水から1,200mL、食物800mL、代謝物300mLとして摂取される。なお、不感蒸泄とは呼気に含まれる水蒸気として体外に吐き出されたり、皮膚表面から感知できない程度に分泌される汗のことである。
水分子間における水素結合を生物は様々な形で利用し、またその恩恵を受けている。
水の摂取量には適量というものがある。
体内の水分量が不足した状態を医学的には脱水と呼ぶ。水分喪失量に対して水分摂取量が不足することによって起こる。水分摂取不足、あるいは水分喪失過剰、あるいは水分摂取不足と水分喪失過剰の同時進行によって起きる。具体的には、高温の環境、重作業、激しい運動、発熱、下痢、嘔吐などが原因となって起きる。
人体が過剰な水分を投与された場合、細胞外液の浸透圧が異常に下がり、低ナトリウム血症によって悪心、頭痛、間代性痙攣、意識障害等の症状を引き起こす。これを水中毒と言い、輸液ミス、心因性多飲、SIADHなどの結果としてみられる。なお致死量は体重65kgの人で10–30リットル/日である。
世界のそれぞれの地域における水の状況は、地域による差が大きく、その地域の気候を決める重要な要素であり、それによってそこで生活する人間のあり方も大きく異なる。特に農業の形態は気候に大きく左右され、それはそこに成立する社会の構造をも決定する。
水の利用は都市生活の維持にとって重要なため、古代から一部の国では水道が建設された(上水道・下水道)。産業利用を目的とした水利は、用水路と呼ばれる(農業用水・工業用水)。
だが、現代でも途上国などでは水道が無い国が多く、毎日自力で長距離を歩いて重い水をバケツ等で家まで運ばなければならず、その労働のために学校へ行くことすらままならないという子供たちが多数存在している。
世界の水の使用量は1995年の段階で年間約35,700億m³で、内訳としては、農業用水が約25,030億m³/年で約7割を占め最大、工業用水が約7,150億m³/年、生活用水が約3,540億m³/年だった、とも推定されている。水使用量は1950年から1995年までで2.6倍になっているともされ、2025年には30億人以上が水の量と質の限界(水ストレス)に直面する、とも予想されている[4]。
家庭での水の使用量は、国ごとに著しく異なる。途上国の中には一日一人あたり数リットルという国もある一方で、先進国では一日一人あたり数百リットル、という差がある。日本の家庭の使用量も他の先進諸国と同様、最も高い部類に属する[5]。
日本での使用状況の一例として東京の家庭でのそれを挙げると、1日で1人あたり242Lの水を使っている(2005年現在、東京都水道局調べ)。家庭での水の使用量のうち、28%がトイレ、24%が風呂、23%が炊事、17%が洗濯となっている(2002年、東京都水道局調べ)[6]。
古代ギリシアの哲学者タレスは、万物の根源アルケー(現代でいうところの元素のようなものだが、必ずしも物質的なものではない)は水であると考えた。エンペドクレスは、水、空気、土、火の4つのリゾーマタ(四大元素)からすべての物質が構成されるとする、いわゆる四元素説を唱えた。これはアリストテレスに継承された。
東洋においても、万物は木・火・土・金・水の5種類の元素から成るという五行説が唱えられている。
水は人類にとって最も身近で重要なものであり、かつ様々な態様を見せることから、水をモチーフとした数々の芸術作品が生み出されている。 水そのものを取り入れたものに庭園における池や噴水がある。
他にも、世間や市場に飛び交うもの(貨幣や情報など)を水にたとえて、「洪水のような」とか「氾濫する」とかいう表現がされることがある。