自作パソコン(じさく -)はマザーボード、電源、ハードディスク、光学ドライブ、メモリなど、パソコンを構成する部品(パーツ)を個人で取捨選択して組み立てたパソコンである。組み立てパソコンと呼ばれる事もある。
概説
大手メーカーなどが製造するメーカーブランドのものと対比する意味でこのように呼ばれる。
個人の好みや必要に応じて、性能を高めたい部分に重点投資し簡略化できる部分は可能な限り削減できることなど、同じ予算で組み立てたとしてもそれぞれの性能に特徴が出るため、自分の要求する機能・性能に応じて適切に選択できればコストパフォーマンスの追求ができる。
個人で組み立てができるのはPC/AT互換機である。構成する各機器のフォームファクタなどの規格が決められており、プラスドライバーを中心に、いくつかの安価な工具さえあれば動くパソコンを組み立てることができるので、手軽な工作ホビーとして楽しむことができる。ハードウェアの知識は必要だが、電子回路などに関する知識や技術はほとんど要らない。
Macintoshはメーカー公式としては自作機は認めていないが、既にMacintoshもATX系の規格で構成されているため、これにPC/AT互換機のパーツを組み合わせる事が可能である。この為に、本来修理部品として流通しているマザーボード(Macintoshのファンは“ロジックボード”と呼ぶ)を販売しているショップが存在する。また、古いMacintoshに新しい機種のロジックボードを入れるなどの大掛かりな改造を好む人たちも存在する。
また、自分は部品構成を考えるだけで、その後の組み立てを業者に行わせるという方法 (BTO, Build to Order) もある。工作に不慣れな人や、事業所に多数導入する際に利用される場合に、自作パソコン関連品を販売する業者に対してこのような形態の注文を出すことがある。厳密な意味では自作パソコンではないが、設計そのものは自分で行っていて、組み立てを外注していると考えれば自作パソコンとして理解しても差し支えない。また、このように組み立てを外注したパソコンを他作パソコンと呼ぶこともある。(自作の入門としてBTOを購入し、パーツの交換などを行って知識と経験をある程度蓄えてから一般的な自作に挑む人もいる。)
なお、パソコンを組み立てる場合には、後述のようにソフトウェアのみならず、使用中のハードウェアのトラブルへの対処も自分で行う必要があるため、ハードウェアの構成や内容をきちんと理解できるレベルのスキルがないと難しい。逆に言えば、自作パソコンに挑むことでこれらのスキルを得ることが期待できる。
方法
大きく分けて、次の二つの方法がある。
- ケース、マザーボード、CPU、メモリなどのパソコンを構成する部品を一つ一つ寄せ集めて組み立てる方法。
- ベアボーンと呼ばれるケースにマザーボードが組みつけられた半完成品を基に、CPUやメモリなどパソコンを構成する残りの部品を装着して組み立てる方法。
汎用規格品の部品が使われる大型パソコンは (1) の方法が取られる。一部専用部品を使って小型化したパソコンは主に (2) の方法が取られることが多い。ノートパソコンを作る場合は (2) の方法のみである。
ほとんどのメーカー製品がそうであるように、かつて(ワンボードマイコン時代)の様に、マイコンキットや、パターンが印刷されておらずパーツをはんだ付けするための穴のみが無数に設けられたユニバーサル基板に部品を自ら半田付けし、場合によってはパターン設計から行う、などということは今日では行われていない。
自作の長短
長所
- 不要な部分を削り、必要な部分を強化し、自分のニーズに最適化されたパソコンが手に入る。
- 本体の組み立てを完了させたあと、OSやデバイスドライバをインストールするだけで最低限の動作をするため、余分なレジストリなどが含まれないクリーンな環境の構築が容易で魅力的である。後から必要に応じ市販のソフトを別途で購入するか、シェアウェアやフリーソフトウェアをダウンロードし、インストールで追加すれば良いため、ソフトウェアの価格を安く抑えることができる。
- (メーカー製の場合、最初から多種多様なソフトウェアや専用サイトへのアクセスリンク、プロバイダへの契約を自動化するソフトなどがプリインストールされている場合が多く、これを商品価値として宣伝していることがあるが、これらを必要としないユーザにとってはソフトの価格も上乗せされることで割高になっているのは否めない。利点と欠点も参照のこと)。
- 記憶容量や処理能力などに不満で出てきた場合には、パーツ単位でのアップグレードが可能であり、一式買い換えのように一度に多額の出費を強いられることが避けられる。
- CPU、GPU、メモリなどに供給する電圧を変化させたりクロック周波数を変更することで、部品構成を変えることなく、より高性能を追求することもできる。このような行為をブーストまたはオーバークロックと呼ぶ。
- ケースを自由に選べるので、既製パソコンにはないような大胆なデザインのものからオフィス向けのシンプルなデザインまで、好みや用途に合わせたもので仕上げることができる。また、一般的な自作用ケースは多くのメーカー製パソコンのそれより拡張性が高いので、パーツの交換や増設が容易である。
- ほとんどの部品は規格化されているので、万が一の故障の際にも故障箇所さえわかれば安価に修理可能である。
短所
- 常に自己責任が付いて回る。
- メーカーサポートがない(作った自分自身がメーカーという扱いになる)。但し、パーツ単位でメーカー別の保証がなされている事はある。
- トラブルが起きても、自分で対処する必要がある。そのためある程度の知識や技術が必要とされる。
- パーツ同士の相性等によって期待通りに使用できなくても、自分で対処する必要がある。但し、メモリなどには有料で相性保証が付く場合がある。
- 自分で組み立て、自分でBIOSを設定し、OSを自分でインストールする必要がある。
- 大手メーカー製パソコンの場合、OSとプリインストールソフトをまとめたCD-ROM(リカバリーディスク)が付属し、いざというときにはハードディスクをフォーマットし、OSの再インストールで購入時の状態へ修復できる。しかし、自作パソコンではリカバリーディスクも自作するとともに、より慎重なバックアップを取る必要がある。
- Windows XP・Vistaをインストールし、アクティベーション(認証)を済ませてからパーツを交換または追加した場合、本体の構成が変わってしまうことから再度アクティベーションを行わなければならず、場合によってはアクティベーションを拒否されるおそれもある。
- 高信頼性であるかどうかは評価技術のあるところでないと検証できない。また、個々が高信頼性であっても、それを組み合わせたら信頼性が高いかどうかは保証できない。
- 一部のソフトウェアや、大手メーカーが自社製品での使用を前提として販売している純正パーツにおいては、サポート対象外の扱いを受ける。
- パーツ毎の動作クロックや電圧などの組み合わせによっては、動作不能となることがある。つまり互換性の知識が必要。
- 資源の有効な利用の促進に関する法律(通称リサイクル法)に基づくリサイクル料金の支払いを自分で行わなければならない(メーカー製の場合は価格に含まれ、ステッカーが貼付されている)。
- 基本的に自作パソコンは「メーカーが定まらないパソコン」として扱われ、処分の際はJEITAの関連組織である「パソコン3R推進センター」へ回収を依頼することが義務付けられているが、対象は「パーソナルコンピュータ(パソコン)」であり、パーツ単体ごとは対象外となっている。その為マザーボード単体のみなど、パーツごとに処分する際には、従来通り自治体のゴミ回収に出す事となる。
日本における自作の歴史
当時はLKIT-8、NECのTK-80、PC-9800シリーズ全盛期であったが、日本IBMがPC/AT互換機で日本語処理を実現するDOS/Vを開発したことにより、DOS/Vブームが起こる。しかし、PC/AT互換機で使用されるDOSで動作するビジネス向けアプリケーションソフトのほとんどは日本語が使えない、代用品が存在するなどの理由で需要がなく、利用されたのは日本語でなくても構わない一部の海外製のゲームがほとんどで、DOS/V自体には特に意味が無くDOS/Vとは実質的にPC/AT互換機の別称である。その一方でその土台となるパソコンのハードウェアの差異を問わないWindowsの発売により、PC/AT互換機は安価で高性能なWindowsパソコンとして地位を徐々に確立していった。
独自仕様であったNECのPC-9800シリーズなどに比べ、共通したICなど大量生産による量産効果から国内外のパソコンに価格差があった。その一方で、NECや東芝などは海外では著名なPC/AT互換機のメーカーであったが、日本国内に価格競争をもたらすPC/AT互換機の発売は避けていた。日本国内でPC/AT互換機を入手するには、代理店経由で高価格な大手メーカー製を購入するか、それよりは比較的安価なホワイトボックスを個人輸入で購入するしか方法はなく、秋葉原などの電気街周辺に住むパソコンのマニアにより、細々と自作が行われていた。
そして「コンパック・ショック」が発生した。これは当時の日本の主流であったNECのPC-9800シリーズを暗に名指しした比較広告とともに安価な機種が発売された。ただし、価格的な目玉商品である機種は必要な周辺機器を装備せずに実用性には疑問があり、また、当時のコンパックは元祖であるIBMよりも高い技術力を持つとして考えられていた影響もあり、日本での価格は高額であった。のみならず、安価な機種の発売を見越してそれ以前の機種を意図的に高い価格設定をしていたと首脳陣は発言している。それに他のパソコンメーカーも追従せざるを得なくなり、低価格化が促進された。
この頃、部品メーカーの仕様に若干の違いが生じた場合、同じ規格に見えるものでも相性的な物が存在するなどの問題が表面化した時代でもある。一見同じように、あるいは規格に合致しているように見え、しかし正常に動作しない場合が多々あった。「製品の数だけ規格がある」などとも揶揄された。例えば、16MビットメモリのICを用いたSIMMに於いてはクロックマージンに2つのグループが存在し、グループの異なるメモリの実装は困難でもあった。また、マザーボードも何れかのグループの基準に合わせ製作されていた為、異なるグループの物を実装すると、間欠的ながらストール状態に陥る事が多かった。それらの現象をひと括りにしてしまう「相性」という便利な用語が発明された。利用者側が原因を特定できない、あるいは販売者側が原因を特定したくない場合に用いられることとなる。
発展期(1990年代)
Windowsのバージョン3.0および3.1の発売により、ソフトウェア資産におけるアドバンテージやパソコンのハードウエアアーキテクチャによる「日本語の壁」は無くなり、日本独自のパソコンは、新たなプラットフォームに向けて更新しない閉じた世界の特殊アプリケーションソフトを利用するパソコンという位置づけにならざるを得なかった。PC/AT互換機ベースのパソコンの普及が本格化、低コストでパソコンを入手する手段として量的に拡大していった。
この頃、発売されたNECのPC-9821シリーズではPC/AT互換機用の一部のメモリ、ハードディスクも使用可能となり、パーツの流用も可能となった。また、Windows 95の発売により、それまで事務機器あるいはマニアの趣味に留まっていたパソコンが一般消費者にも使われるものとなり、その市場の拡大に併せて自作の最盛期を迎えようとしていた。オーバークロック等が流行したのもこの時期である。ただし、地方では特殊なパーツの入手は通信販売に頼るしかなかった。その後にWindows 98、Windows 2000とリリースされた頃にDual CPUやRAIDが流行し始め、多くの熱狂的なヘビーユーザーを生むきっかけとなった。
多数あったパソコンメーカーは淘汰され、さらに単体発売されているWindowsがパソコンメーカーへの卸価格よりも極端に高額な価格設定がなされていること、一部パーツメーカーが販売促進やシェア確保を目的に、一定規模以上のパソコンメーカーに対して大幅な価格割引や販売奨励金などの名称で割戻を行っていること、デルなどの直販メーカーの台頭などによりパソコンの低価格化が進みメーカー製パソコンの小売り単価が下落したことなどから、もはやコスト面において自作を行うメリットは無いに等しい。さらにWindows XPを中心としたアクティベーションによる使用に対する手間の増加、各種デバイスのオンボード化により、低コストなパソコンと捉えていた層が離脱したため、自作パソコンは全体的には減少傾向にあるが、よりマニアックになりつつある。
しかし、自作パソコン自体が趣味の対象になったり、既製品では不可能な特殊なニーズを満たすパソコンの入手手段として、自作は未だ健在である。また、自作を嗜好するユーザーらの意見が良し悪しは別として全体の市場の方向性に強く関係していることも見逃せない。
また、プロセッサの進化により処理能力に余裕ができた一方で、消費電力や発熱が増大したことから、オーバークロックのような行為は一時期よりも減り、静音化、省電力化、キューブパソコンなどの小型化といったスマートなパソコンを自作する事が新たなムーブメントとなっている。この頃には、パソコンの自作に必要なパーツを販売する店舗の全国展開や玄人志向、挑戦者など家電量販店で扱える流通ルートが整備され、地方居住者でもそれなりに自作用パーツを調達しやすい環境が整った。
パソコンを部品単位で購入し、随時部品交換を繰り返した結果、パソコンほぼ1台分の部品を余らせることも珍しくなくなり、余った部品を有効活用しようとして欠損している部品を購入して逆に無駄な出費をしてしまい、Linuxなどの無償利用できるOSを導入したり、正規ライセンスを得ずに有償OSを使用する者も少なくない。また、パソコンの価格の低下によりWindowsやOfficeといったソフトウェアの経済的負担に反発し、無料または低価格なアプリケーションソフトへの関心が高まっている。パソコンの利用の中心がローカルからインターネット上へ徐々に移行するのと併せて、新たな世代へと移行が起き始めていると言える。
2006年以降、Intel Core 2などの最新のマルチコアCPUの登場により、CPUの消費電力や発熱量の増大によって自作ユーザーが苦心していた冷却や静音化の問題が解決しつつあることや、Core 2のオーバークロック耐性が高いという評判によってオーバークロックへ挑戦するユーザーが増えたことなど、自作パソコン市場は勢いを取り戻しつつある。
自作パソコン計画
最低限必要なもの
現状で自作パソコンを作成する場合、最低限揃えないといけないものを紹介する。またここではOSにWindowsを使用するものとして解説する。
- マザーボード(図中2)
- 自作を計画するときは、まずCPU、メモリ搭載量、ハードディスクで予算を設定する。意外と見落としがちなのはCPUの性能を引き出す「チップセット」の型番・仕様である。チップセットにグラフィックス機能を統合したもの(統合チップセット)であれば、別途グラフィックスボードを用意せずに済み安価に仕上げられるが、高いグラフィックス性能は期待できないことが多く、マザーボード自体の拡張性も低い場合が普通である(ただし、トラブル発生時にその要因となり得るグラフィックボード無しでも起動可能な為、あえてオンボードグラフィックのあるマザーボードを使う(その上で別途グラフィックボードも搭載する)ベテランもいる。
- なお、古いモデルのチップセットを搭載したマザーボードは安価であることが多いが、パソコン全体の性能を最大限に引き出すためには最新のCPUには最新のチップセットを組み合わせるのが望ましい。ただし、メーカーリリース直後のチップセットは未知の不具合があることも多く、安定性を重視する場合、敢えて既に問題と対処法の情報がほぼ出きっている古いチップセットを選択するという手段もある。
- また、電解コンデンサでマザーボードを選ぶユーザーも増えており、寿命が著しく短い粗悪品の混入が懸念される台湾・中国製のコンデンサを搭載した製品を避け、多少高価ではあっても日本製・日本メーカー生産によるコンデンサの搭載製品を指名買いするケースも目立っている。この傾向は、マザーボードに搭載された台湾・中国製コンデンサが液漏れ、破裂といった不具合が頻発するようになってからである。詳細は不良コンデンサ問題を参照の事。
- CPU(図中3)
- パソコンの性能を決定付けるといっても過言でない部品。大抵はここで選んだCPUに合うマザーボードを選ぶこととなる。ただしCPUが一番手軽に換装できるパーツでもあるため、安価なCPUで製作する時も、マザーボードは将来性を持たせることを考えたほうが良い。一般的にはAMD系かインテル系を選ぶことになる。それ以外にはVIA系があるが基本的に組み込み用であり、一般的なパソコン用途で選ぶメリットはさほどない。
- 設計思想などの違いからそれぞれの製品に適した用途が異なるとする場合もあるが、厳密な点はともかくとして、現状では横並びと見てかまわないと思われる。
- また、パッケージング販売されているリテール品(箱に入った状態で販売されている)のCPUのには、ほとんどの場合純正冷却ファンが付属するが、バルク品やアウトレット品には付属していない事が多いため、別途購入する必要がある。もちろん、CPUの冷却ファンにも多種多様な製品が存在し、好みと必要に応じて純正品と交換することもできる。
- 性能面で見るべき点は、マイクロアーキテクチャとクロック数、キャッシュ、機能面の特徴である。機能面では特にコア数の違いが注目されている。HT(ハイパースレッディング)を搭載している場合、仮想的に「コア数×2」だけコアがあるような動作をする。
- マザーボードとの相性面で見るべき点は、ソケット規格、チップセットである。特にソケット規格が異なってしまうと物理的に接続できないため、注意深く確認する必要がある。
- メモリ(図中4)
- マザーボード(チップセット)により搭載可能なメモリの仕様が決まっている。現行主流のマザーボードにはDDR2規格のメモリが求められることが多く、市場でもDDR2が活発に取引されている。他に以前主流であったDDRなど数種類がある。2007年にDDR2の後継となるDDR3が登場しており、2009年中にはDDR2に替わって主流となると見られる。オープンプライス(またはロット単位の卸値のみ公表)が多く頻繁に価格が変動するパソコンパーツ類の中でも最も価格が流動的とされ、以前には月率数十パーセントという極端な価格変動が発生したこともある。
- グラフィックボード(図中5)
- グラフィックカード、ビデオカードとも呼称する。搭載するインタフェースとしてPCI、AGP、PCI Expressがあり、どれを用いるかはマザーボードがどのインタフェースを搭載しているかによって決定されることになる。後者の方が新しい規格で、より高速である。
3Dゲーム、オンラインゲームなどは高い性能を要求することが多く、ある程度以上の性能を持つ単体ビデオカードは必須となる。一方、オフィス的な用途ではそれほど高性能は要求されない。
- また、出力も(通称「VGA」)などのアナログ出力と、DVIなどのデジタル出力があり、こちらはディスプレイの対応入力によって選択する。
- あまり高い性能を要求しない場合、オンボードグラフィック機能の付いたマザーボードを選択し、グラフィックボードを省略する方法もある。しかし、大半のオンボードグラフィックは、描画処理に用いるメモリをメインメモリとシェアリング(共用)しているため、メインメモリとCPUの間で使えるバスが狭くなったり、本来の処理に使うメモリの量が減ってしまったりするため、その分性能が落ちることになる。自作パソコンのベテランは、安物でも良いから別途グラフィックボードを搭載することを薦める場合が多い。
- また、高性能なグラフィックボードは、搭載するグラフィックチップの発熱が大きいため、冷却用のファンを搭載している。比較的小さく高速のファンであるため、騒音源となるが、その度合いはボードのベンダー(メーカー)によってかなり異なる。対性能比であまりに安いベンダーのボードは、こうした部分で安く上げており、騒音が大きかったり、ファンの故障によってグラフィックチップが焼損してしまったりするので、注意が必要である。
- ハードディスクドライブ(図中8)
- 規格としては、シリアルATAとパラレルATAがある。ただし、マザーボードの記述では、前者がSATA、後者がIDEと記述されている場合が多い。SATAの方がデータ転送速度が速い新しい規格である。現在日本国内では、店頭で扱われている単品ハードディスクドライブのほとんどがSATAに置き換えられている。現行のマザーボードの殆どには、両方の端子が搭載されているので、基本的に接続ケーブルはハードディスク側の規格を見て合わせれば良い。
- 電源(図中6)
- ATX規格に対応した「ATX電源」と呼ばれる電源装置が主流である。中古の電源は電源容量や信頼性、安全性の面であまり推奨できるものではないとされる。単体で広く販売されているが、後述のケースに付属する場合もある。ケースに付属していない場合や、付属する電源の容量や品質に不満がある場合は別途購入が必要である。
- 電源仕様はPCI Expressに対応したATX2.1仕様のものが主流だが、ATX2.0以前の仕様に基づいた製品も流通しているので注意を要する。電源も仕様によってコネクタの形状やピン数が微妙に異なるが、コネクタの変換で対応可能な組み合わせに関しては多種多様な各種変換コネクタが販売されている。
- 上述したマザーボードと同様の理由で、電解コンデンサで電源を選ぶユーザーも多い。またBTOが可能なホワイトボックスのメーカー製パソコンではコスト削減の観点などから安価な電源つきケースを一括で購入している事が多いが、自作ができるレベルのユーザーには、この様なケース付属品の電源に対して品質的な不安感や不信感を抱いている者が珍しくない。そのため、ホワイトボックスパソコンを購入した場合には、使用前に電源について自作パソコンと同様の要領で自分の選んだものと交換する、という者も見られる。
- ケース
- ケースがなくても部品同士を結線すればパソコンとして動作するが、使い勝手・安全性などの点から通常はケース内に収納する。基本的にはマザーボードのフォームファクターによってケースの大きさが決まる。ケース選びにおいてはベイ数などの仕様、デザイン、使いやすさ、工作精度などが評価基準となる。なお、ケースファンは機械部品である性格上、長持ちしないことがあるので中古ケースの場合などは新品交換を考慮すべきである。ケース自体の自作、あるいは業者へのオーダーメイド、テーラーメイドも可能。ヘビーユーザーの自作品には、純木製、さらにはフレームだけ(外板がない)、ポリタンク、鑑賞魚用水槽と言ったキワモノも存在する。
- 光学ドライブ(図中7)
- 選択肢は大雑把にまとめるとCDの読み込みのみ、CDの読み書き、DVD・CDの読み込みのみ、DVDの読み書き、次世代光メディア (HD DVD,Blu-ray Disc) の読み込み、次世代光メディアの読み書き。ドライブベイを占有し、パソコン内部での占有体積も大きいので通常使用しない人にとっては邪魔になることも多く、2台目以降のパソコンとして自作する場合、OSをインストールする際は他のパソコンのものを一時的に取り付け、インストール後は取り外す、という人も居る。インタフェースの規格はハードディスクドライブと同じで、SATAとIDEが混在する。データ読書きの速度がハードディスクドライブより遅く、現時点では敢えてSATAを選ぶ必然性がそれほどない為、SATAへの移行はハードディスクドライブより遅めである。
- この他、マザーボードのBIOSのアップデート用にフロッピーディスクドライブ(FDD)を組み込む場合もあるが、最近ではOS上のユーティリティからBIOSアップデートができるものが主流になってきた事から、FDD絶対的に必要なものではなくなっており、従来FDDを搭載していたスペースにメモリーカードリーダライタを搭載する事も多い。
ハイエンドな自作
- 拡張スロット
- 最近ではマザーボードにオンボードとして搭載されているデバイスが豊富にあり、別途増設しなくとも、基本的な動作には支障が無い。しかしながらオンボードで賄えない場合やハイエンドな性能を要求する場合は拡張スロットによる増設が必要となる。拡張スロットのインタフェースは、ISA、PCI、PCI Expressがあるが、ISAは2000年代前半までにほとんど消滅している。主流はPCI Expressに移行しつつあり、メーカーもそれを推奨する形でリリースしている。また、USBやeSATAを利用した外付け増設も盛んに行われており、対応機器も増加している。
- サウンドカードに関しては、一般的な使用目的ではオンボード品で充分事足り、下手な増設をする必要はない。しかしながら、ゲームなどでサラウンドといったCPUによる音声処理を専用チップに任せてしまう用途や、オーディオ愛好家向けには高性能な音響部品を搭載したサウンドカードがある(サウンドブラスターやオンキヨーのSEシリーズなど)。ミュージシャン、レコーディングエンジニアなど特に「音」にこだわる用途には、プロ用のオーディオカードを増設をする場合が多い。またパソコン内部はノイズが多く音質に悪影響が出るとし、USB接続やIEEE 1394 (FireWire)接続の外部オーディオインタフェースを使うケースも目立つ。
- その他、無線LAN、TVチューナー、ビデオキャプチャー、SCSI、など、拡張スロットを用いることでさまざまな付加機能を持たせることができる。
- ドライバ、ソフトウエア
- DVDドライブやグラフィックカードを増設した場合、それをOSで動作させるためのデバイスドライバやソフトウエアが必要になる。特に玄人志向などのメーカーは、敢えてソフトウエアや日本語マニュアルの付属しないパーツを販売し、玄人の自作魂をくすぐる傾向がある。これらパーツの製造元は海外が殆どで、英語力が必須となるため素人、初心者には少々敷居が高い。しかしながら性能の割に安価なものが多く、辞書を片手にしてでも挑戦する価値はあるかもしれない。また、SATAとIDE互換のマザーボードの中にはIDEを基本としているためSATAを導入するために特別な操作や、チップセットのバージョンアップが必要となる場合がある。特にSATAにOSをインストールする場合はBIOS画面で操作しなければいけないため、初心者はそういったマザーボードを選ばない方がいいかもしれない。
- CPUファン(CPUの冷却装置)
- CPUそのものと違って、CPUファンに関してはノーブランド品や他社メーカー品に冷却性や静音性でCPU付属ファンより優れた製品が多くある為、増設・換装は選択肢の一つになる。空冷ファンではなく、水冷やガス冷却等の選択もある。水冷の場合は空冷より冷却能力の限界が高いが、値段の安いものだと冷却性自体に問題が起きる可能性がある。また漏水や結露の危険も考慮しなければならない。ガス冷却は冷蔵庫の仕組みを転用したものであり、他者よりもはるかに高性能だが価格も性能に比例して高い。一般論としては、空冷以外のCPU冷却方法は価格や安全性の面で劣っていると言われる。しかし、画期的な方法が編み出される余地のあるパーツでもある。
関連項目

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