舗装(ほそう、元の用字は鋪装)とは、道路の耐久力を増すために、その表面を石、煉瓦、コンクリート、アスファルトなどで固めることである。狭義にはコンクリート、アスファルトによる舗装のことを指す。
概要
- 路面に緻密な層を設けることにより雨天時の泥寧化や乾燥時の砂塵を防止する。
- 路面の平坦性を良くし、適度のすべり抵抗性をもたせることによって、車両走行時や歩行時の快適性や安全性を向上させる。
- 舗装の機能が十分発揮されるように、交通荷重と自然環境の作用に対する耐久性を確保する必要がある。舗装の基礎部分である路床がこれらの荷重に耐えられるよう適切な構造の舗装を築造し、表層からの交通荷重を分散させられるように、その場所の状況や条件、経済性、沿道環境を考慮しながら舗装の構造を決定する。
舗装の種類
- アスファルト舗装
- アスファルト混合物(アスファルト合材)を用いた舗装で、車道、歩道の両方に用いる。敷設が比較的容易であり、舗装作業開始から交通開放までの時間が短くてすむため、現在の日本では主流となっている舗装である。
- 一部の道路では透水性(または排水性)舗装として、特殊なアスファルト合材を使用する。基本的にアスファルト合材の色である黒色の舗装となるが、近年様々な色のアスファルト舗装が可能となっている。
- コンクリート舗装
- 主にセメントコンクリートを用いた舗装で、歩車道を問わずに施工される。たわみによるひび割れ防止のため鉄筋を配することが多く、施工期間が長くなり養生などに手間がかかるなど、敷設(打設)の難しさはあるものの、アスファルト舗装に比べてたわみに強く耐摩耗性に優れており、重車両が頻繁に通行する場所、トンネル内、急傾斜の坂道などといった舗装補修を頻繁に行うことが困難な場所に多く用いられる。
- 狭隘・急峻な道路でアスファルト合材の持ち込みが困難な場所に簡易的に施される事例も少なくない。
- セメントコンクリートの色である白色に仕上がることが多い。
- 半たわみ性(半剛性)舗装
- 空隙の多い開粒度アスファルト混合物による舗装を行った後、その空隙に特殊なセメントミルクを浸透させたもの。アスファルト舗装とコンクリート舗装の両者の長所を活用した舗装である。使用箇所はコンクリート舗装とほぼ同様で、バス停や交差点流入部などにおいて利用される。
- レンガ舗装
- 煉瓦ブロックを用いた舗装。歩道や民家、公共施設の敷地などに用いる。
- タイル舗装
- 歩道、マンションの通路、階段などに用いる。タイルそのものに厚みがないため、そのほとんどが車道には適しない。
- インターロッキングブロック舗装
- コンクリート二次製品。歩道用、車道用がある。ブロック相互を噛み合わせることにより段差の発生を防ぐユニバーサルデザイン対応のものもある。
- 張石舗装
- 天然石を加工し、平板状にしたものを路面に並べる。歩車道を問わないが、走行性があまりよくないため現在では車道に用いられるケースは少ない。
- マカダム舗装
- マカダム(John Loudon McAdam、考案者名)式舗装、砕石舗装とも呼ばれる。砕石を敷き詰めローラーで圧し固めて施工する。砕石は天然の砂利と異なり表面が荒く、圧し固めるだけでガッチリと噛み合うのでこれをもって耐久性となる。仕上がりが美しく、自動車がまだそれほど普及していなかった戦前・戦中までよく用いられていた。ほかにローラーに水をかけながら転圧する水締めマカダムや、自動車普及により問題となった塵埃対策に、目つぶし材としてタールやアスファルトなどを利用したタール・マカダム、アスファルト乳剤マカダム(アスファルトと異なり常温施工が可能)などがある。
舗装構成
ここでは、日本で幅広く施工されているアスファルト舗装について述べる。
アスファルト舗装は、一般的に上から表層、基層、上層路盤、下層路盤の4層からなり、その下を路床と呼ぶ。表層から下層路盤までが舗装にあたる。大型車の交通量が少ない路線では表層と路盤のみで構成される道路が多い。
- 表層
- 道路の表面(最上層)のことで、一層が5cm程度のアスファルト混合物の層である。その層の役割は交通荷重を分散して下層に伝達するとともに、交通荷重による流動、摩耗、ひびわれに抵抗し、平坦ですべりにくく、快適な走行が可能な路面を確保する。雨水が下部に浸透するのを防ぐ。
- 基層
- 表層の一つ下層に敷設される5cm程度のアスファルト混合物の層。表層に加わる交通荷重を路盤に均一に伝達する。重車両の交通量に応じて省略される。
- 路盤(上層路盤・下層路盤)
- 路盤は、上層から伝達された交通荷重をさらに分散させ路床に伝達する。
- 上層路盤
- 基層(または表層)の下層に敷設される層を指す。以下の手法がとられることが多い。
- 粒度調整工法 - 一定の粒度を持つ砕石やスラグを敷き詰める方法。材料が比較的安価に入手できることから多く用いられている。
- 安定処理工法 - 砕石や地域産材料などに歴青や消石灰、生石灰、セメントなどを加えて固化させ、支持力を高める方法。
- 下層路盤
- 上層路盤の下の層。
- 粒状路盤 - 砕石やスラグを敷き詰める方法。材料が比較的安価に入手できることから多く用いられている。
- 安定処理工法 - 現地発生材などに消石灰や生石灰、セメントなどを加えて固化させ、支持力を高める方法。
- 厳冬期における路床の凍結融解によって表層にまで影響があると憂慮される地域では、過去観測による最低気温により、路盤の厚みが機械的に選定される。
- 路床
- 舗装の直下にあたる約1mの部分。路床は舗装と一体になって交通荷重を支持し、路床の下部にある路体に対して交通荷重をほぼ一定に分散させる。盛土区間では良質土により十分に締め固められた層が構築され、切土区間の多くでは現地盤がそのまま用いられる。軟弱地盤では、一定の厚さの地盤を良質土で置き換えたり、セメントや石灰等による安定処理工法が施される。
補修
アスファルト舗装は硬度・耐性は土・砂の地面に比べると大幅に高いものの、継続して力をかけ続けられると小さい力にも脆く、容易に変形する特徴を持っている。舗装素材の劣化、高荷重による過度の交通、舗装構造の不備、路床や路盤の経年変化による支持力低下、軟弱地盤地など様々な要因により、以下のような現象が発生する。
- 轍(わだち)掘れ:車両が通過する特定の部分に起こる線状の窪み。
- 路床や路盤の経年変化による支持力低下や夏季高温時の高過重負荷によるものや、積雪地での車の滑り止めによる摩耗、表層基層の一体化による荷重分散不足
- 罅(ひび)割れ:荷重がかかる部分に起こる亀甲状の割れ目。舗装打継目も割れやすい。
- 環境負荷(夏季冬季の温度差)による表層素材の劣化、舗装素材の不良、敷設に時間がかかり過ぎた為や敷設時散水等による急速冷却で起こる温度斑による素材の劣化
- 舗装表面の平坦性低下:舗装表面に起こるたわみや曲線部や坂道、路肩に生ずるこぶ状のより。
- 路床や路盤の経年変化による支持力低下、軟弱地盤の沈降、夏季高温時での高過重負荷、表層基層の一体化による荷重分散不足
- ポットホール:罅(ひび)割れ部や排水不良により劣化の進行した舗装表面に生ずる穴。
- 段差:構造物周辺などの地盤沈下や地震等で起こる舗装表面に起こる垂直方向のずれ。
補修には表層・基層の一部を軽く削り取り施工し直す「切削オーバーレイ舗装」、表層(二層打ちなら基層含む)をはがし、上層路盤もしくは、下層路盤までを整えてから施工する「打換え」、窪みを修正するためそのままアスファルトを被せる「オーバーレイ舗装」などがあり、交通量や予算、耐用年数等を考慮して計画を立てる。また、排水不良箇所などにできやすいポットホールなどは、通過する自動車に与える影響が大きいことから迅速な補修が求められる。
一方、コンクリート舗装の場合は切削オーバーレイの手法をとることが困難であり、舗装版をまるごと打ちかえる手法が一般的である。しかし、コンクリート舗装の打設には時間がかかることから、コンクリート舗装の表面に新たなアスファルト舗装を施すことも少なくない。
規格と品質
国や県、市町村などの公共機関が発注する公共工事の場合、工事を進める上で使用する材料の基準試験、品質管理や出来型管理の基準がそれぞれ定められており、施工業者はこれに従い工事を進めていく必要がある。
アスファルト舗装の施工
アスファルト舗装を施工する場合、少数精鋭としても、フィニッシャーマン(フィニッシャー運転)、アジャスターマン(フィニッシャーのアジャスター調整)、レイキマン 2人(フィニッシャーの施工した端の処理や最終的な合材の調整)、スコップマン2人(レイキマンの処理した合材の処理や大まかな合材調整)、ローラーマン 2人(プレートや振動ローラやコンバインドローラやタイヤローラでの転圧)が必要であり、8人から10人のチーム編成となる。チームの息が合っていればいるほど施工は速やかに進む。実に舗装の出来は、チーム連携の良し悪しに左右される。
アスファルト合材の温度は150℃近辺であるので、真夏の舗装作業の過酷で、熱中症対策は十分に取る必要がある。また、アスファルトフィニッシャーにてアスファルト合材を舗設する場合、時折マンホールやハンドホール(止水栓など)に合材が被さってしまい、それに気づかずに転圧し、開放時にはマンホール類がすっぽりと隠れてしまったという例がある。ゆえに、アスファルト合材の舗設前におけるマンホール類の位置確認は不可欠である。
日本及び世界の舗装事情
現代の舗装道路は、モータリゼーションに対応したものである。かつて道路は歩行者あるいは軽車両が通行するだけの機能があれば十分とされており、故に路面の耐久性はさほど重視されてはいなかった。しかし、世界的なモータリゼーションの拡大に伴い、凹凸の激しい未舗装道路は、自動車通行に向かないこともあって、道路の機能として車両の走行性をより重要視する傾向に向かっていることから、道路における未舗装道路の割合は世界的に減少傾向に向かっている。
一方で、開発途上国でも、幹線道路は舗装されている場合が多い。ただし、修繕が充分でなく、凹凸が激しいことから通行中のパンクなどは後を絶たない。また、最貧国では、今なお国内に舗装道路がない場合もある。ラオスを例に取れば、国内の主要国道は一切舗装されておらず、ただタイからベトナムに抜ける幹線道路が、ラオス国内を掠めるときに、舗装が見られる程度のようである。
1960年代までは、日本でも未舗装道路が一般的であり、国道であっても未舗装が普通の状態であったが、1970年代前半から、急速に舗装が普及した。当時の輸入車が日本で故障が多かったのは、当時は日本の舗装率が低く車体に悪影響を及ぼしている事が一因であるとの説もあった。現在でも、農耕用車両以外の利用がほとんど見られない道路(田畑のあぜ道や林道など)では未舗装である道路も多い。
参考文献
- 舗装設計施工指針 日本道路協会
- 舗装施工便覧 日本道路協会
関連項目

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