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被害者数は数万人、被害総額は2000億円近くと見積もられている。被害者の多くが高齢者であったこと、解約に応じない強引な手口、会長の永野一男の刺殺、またこの殺人犯に対する温情判決などにより大きな社会問題となった。なお、豊田商事とトヨタグループ、総合商社の豊田通商とは全く関係なく、れっきとした別会社である。
同年7月1日、豊田商事は破産宣告を受ける。破産管財人として、弁護士の中坊公平が選出される。
客は金の地金を購入する契約を結ぶが、現物は客に引き渡さずに会社が預かり「ファミリー契約証券」という証券を代金と引き替えに渡す形式を取った。このため客は現物を購入するのか確認できず、証券と言う名目の紙切れしか手許に残らない現物まがい商法(ペーパー商法)と言われるものであった。一応、豊田商事の営業拠点には金の延べ棒がこれ見よがしに積まれていたが、後の捜査によってそれはイミテーションであったことが明らかになっている。
また勧誘に於いては主に独居老人が狙われたのも特徴的だった。まず電話セールスで無差別的に勧誘し、脈ありと判断すると相手の家を訪問する。家に上がると線香をあげたり身辺の世話をしたり「息子だと思ってくれ」と言って人情に訴えたり徹底的に相手につけ込み、挙句の果てにインチキな契約を結ばせていった。
豊田商事の同系会社の鹿島商事(かじましょうじ)も、販売対象物を金からゴルフクラブ会員権に変えて、現物まがい商法に会員権商法を組み合わせた商法を行っていた。客が購入した会員権は自分ではプレーせず、これを豊田ゴルフクラブという別会社に賃貸してその賃貸収入を得るということを謳っていた。だが、当のゴルフ場は申し訳程度に営業しているだけであり、会員権には全くと言っていいほど資産価値は無かった。また同系会社のベルギーダイヤモンドは、マルチまがい商法によって資産価値の殆ど無い屑ダイヤを販売していて、催眠商法の手口も悪用されるなどして豊田商事本体と並んで多くの被害を出した。頓挫した事業としては、インドネシア海軍の機材納入企業の設立やハイチ共和国の国軍向け被服工場建設(ともに現地側の都合により実現しなかった)、大洋商事(たいようしょうじ)という会社を設立して、オーストラリアや沖縄に陸海空に亘る総合レジャークラブ設立し、会員権を売り出そうとしていたが、オーストラリアでは外国人による土地取引に関する規制により、沖縄では地元住人の反対運動により販売体制ができる前に豊田商事が行き詰まった。
こうした詐欺的商法を行う会社の一方で、新聞を発行する海外タイムスや航空会社の公共施設地図航空、更には公営競技のチケット販売を代行する公営競技施設などの企業が同系会社として存在し、グループの事業に実態があるかの様に装っていた。これら一連の企業を統括する親会社として銀河計画(ぎんがけいかく・「銀河の星の数ほどグループ会社を作りたい」というのが名前の由来)があり、更にその上に白道(びゃくどう)という統括会社(一説には宗教団体を目指していたと言われている)が存在した。
詐欺ではないと見せかける為、幾つかの信用力のある企業やブランド名の悪用や芸能人をイベントで起用した事でも知られており、「豊田商事」という社名は、トヨタ自動車がバックについていると錯覚させるためのものであったが、トヨタを盗用対象にした理由は、永野一男が中学校を出て最初に就職した先がトヨタグループの自動車部品メーカーである日本電装(現デンソー)であったためといわれている。当然のことながら、トヨタグループとは全く関係ない。トヨタグループの総合商社で豊田通商があるが、「豊田商事」と名前が似てしまったばかりに事実無根の風評被害をうけ、大損害を被った(因みに商法12条及び13条における「他の商人と誤認させる名称等の使用の禁止」により類似商号を使用することは禁止されている)。また関連企業の鹿島商事は鹿島建設の系列企業を装い、ベルギーダイアモンドでは国内で仕入れた二束三文のダイアモンドしか扱わないにも拘らず、ベルギー大使館が新規開設のダイアモンド販売業者に対し、業者側から申し入れが有った場合に礼儀的に発行される挨拶文を掲載すると言った、2000年代の詐欺や悪徳商法、セクトの手口としておなじみとなっている手法が使われていた。
当時、金に対する国民の関心は高まっており、1981年に国内金輸入量は史上最高を記録。このため私設の先物取引市場が横行し、それに伴う被害も多く社会問題になっていた。豊田商事の前身の大阪豊田商事も私設市場を舞台に先物取引を扱っていた業者の一つだった。
このため商品取引所法が改正され、商品先物取引は政府が公認した市場で指定した品目に於いてのみしか認められない様にするなど、先物取引を規制する政策が打ち出された。この法規制を切っ掛けとして豊田商事は現物まがい商法へと商法を変えたと言われている。
破産時、売り上げの半分は従業員への給与の支払い(支店長クラスで基本給90〜140万+役職手当90万これに支店の売り上げの0.5%が加算される)会社の運営資金として、残り半分は永野個人の先物取引きでの損失や会社としての事業の失敗により殆ど消えており、豊田商事には資産といえる資産は皆無だった。永野一男個人も、殺害されたときの所持金はわずか711円だった。しかし、管財人となった中坊公平の率いるチームによって、今まで豊田商事が浪費した金が回収される。
中坊チームの資金回収は徹底しており、家賃敷金や高額の給料を貰っていた豊田商事の従業員が納めた税金まで回収し、その金額は100億円を越えた。回収に対する妨害行為も多々発生しており、一部の暴力団や金融機関等は、管財人チームへの詐欺行為による回収された資金の奪取や建物占有行為を実行した。
その後、「特定商品等の預託等取引契約に関する法律」が制定された。この法律により、金などの預託取引契約に対して、一定期間内なら、理由の如何を問わず契約を解除できるクーリングオフ制度が導入された(なお預託取引契約は、一般的なクーリングオフ制度と異なり、店舗外での契約だけでなく、店舗内での契約に対してもクーリングオフ制度の適用がある)。
テレビ中継では、永野会長への「公開処刑」、及び、頭を割られ血まみれとなった永野会長の姿が映り、暴力表現に関する問題に繋がった。
また一部の週刊誌が殺害した犯人と永野会長の死体の全身像を載せ、社会的非難を浴びた。
なお、事件が起こる前後に事件現場前に多数のマスコミがいたため、各所で「マスコミは凶行を阻止できなかったのか」と言った自己批判の論調がマスコミに当時多かった。
当時はこの凶行には心情的理解を示す者も少なくなかった。それほど豊田商事の手法と被害の酷さは有名であった。その「殺人犯」2人に対して「10年以下の懲役」という温情とも思える判決が出た事実の背景には、そのような事情があったのではないかとの意見もある。
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