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| 過酸化水素 | |
|---|---|
| IUPAC名 | Hydrogen Peroxide |
| 別名 | Hydroperoxide, Hydrogen dioxide |
| 組成式 | H2O2 |
| 式量 | 34.0 g/mol |
| 形状 | 無色液体 |
| 結晶構造 | |
| CAS登録番号 | [7722-84-1] |
| 密度と相 | 1.4 g/cm3, 液体(90%) |
| 水への溶解度 | ∞ g/100 mL ( °C) |
| 融点 | -11 °C(90%) |
| 沸点 | 141 °C(90%) |
| 出典 | ICSC |
過酸化水素(かさんかすいそ、Hydrogen peroxide)は、化学式 H2O2 で表される化合物。酸化剤・殺菌剤・漂白剤として利用される。
目次 |
常温ではごく薄い青色のやや粘性がある弱酸性の液体。エタノール、エーテル、水に可溶。過酸化水素自体は無臭だが、酸素を放出するため、僅かにオゾンに似た匂いがする。
過酸化水素は不安定で酸素を放出しやすく、非常に強力な酸化力を持つヒドロキシラジカルを生成しやすい。過酸化水素は活性酸素の一種ではあるが、フリーラジカルではない。
強い腐食性を持ち、高濃度のものが皮膚に付着すると痛みをともなう白斑が生じる。また、可燃物と混合すると過酸化物を生成、発火させることがある。水に溶けると、分解されるまでは水生生物に対して若干の毒性を持つ。[1]
実験室では、酸素を得る際に使われる。この反応式は以下の通りである。

反応速度を大きくするため触媒として二酸化マンガンや酵素の一種カタラーゼを使用する。傷口の消毒時に生じる泡は体内にあるカタラーゼが触媒として働いて生じる酸素である。
なお、過酸化水素は消防法第2条第7項及び別表第一第6類2号により危険物第6類(酸化性液体)に指定されている。
濃度30w/v%の過酸化水素水として市販されており、また、濃度3w/v%の過酸化水素水はオキシドール、オキシフルという商品名で殺菌や消毒用に売られている。
全体の使用量では、製紙の際のパルプ漂白や廃水処理、半導体の洗浄など、工業的な利用が大部分を占める。例えば塩素系の漂白剤が多量の廃棄物を生じるのに対し、過酸化水素は最終的には無害な水と酸素に分解するため、工業利用するには環境にやさしい物質であると言われ、近年過酸化水素の利用は拡大してきている。
同様の観点から合成への利用も数多く検討されているが、コストの高さのため実用化されたプロセスはシクロヘキサノンオキシム合成[2]など限られており、利用用途におけるシェアはまだ低い。
飲料生産の充填工程で、飲料を充填する前に低濃度の過酸化水素水を紙パック内に噴霧して内部を殺菌する飲料充填機も存在する。この際、パック内に噴霧された過酸化水素水はパック内に送風を行うことで分解・乾燥し無害化する。但し、噴霧量が多すぎるなどして飲料に過酸化水素水が混入するというトラブルも起こるリスクがある。
性質の項で述べたように、カタラーゼは過酸化水素の分解を触媒し、酸素を生じる。このことを利用し、一般的に通性嫌気性細菌はカタラーゼを持つが、偏性嫌気性細菌は持たないため、細菌の種類を判別するのに使用されている。また、カタラーゼは熱により変性することから食品に混入した生物系の異物(毛髪や昆虫など)が過熱殺菌工程の前後どちらで混入したかを判別するのにも用いられる。(殺菌前に混入した物であると泡が生じない)
前述したように、オキシドール、オキシフルは消毒・殺菌を目的に販売されている。
またその漂白作用(酸化作用による)を利用し、過炭酸ナトリウムを含む粉末漂白剤や衣類用液体酸素系漂白剤としても市販されている。また、髪の脱色に使用されることもあり、過酸化水素によって脱色した「偽の」ブロンドは、英語で peroxide blonde または bottle blonde と呼ばれる。
過酸化水素(100%相当)の2004年度日本国内生産量は 195,859 t、工業消費量は 13,875 t である[3]。今日では、一般的にアントラセン誘導体の自動酸化を利用して生産が行われている[4]。2-エチルアントラヒドロキノンもしくは2-アミルアントラヒドロキノンを溶媒に溶解し、空気中の酸素と混合するとアントラヒドロキノンが酸化されてアントラキノンと過酸化水素が生じる。ここからイオン交換水を用いて抽出し、アントラキノンと過酸化水素を分離する。分離後、わずかに混入している有機溶媒を除去し、さらに減圧蒸留することにより高濃度(30~60%)のものを得る。副生成物であるアントラキノンをニッケルまたはパラジウム触媒を用いて水素還元することでアントラヒドロキノンへと戻し再利用する。アントラヒドロキノンの酸化の際に側鎖が酸化されたり、還元の際に芳香環が還元されてしまうことがあり、適当な再生処理が必要である。本法ではアントラキノンをいかに効率よく循環・再生使用できるかが重要となる。
硫酸または硫酸水素アンモニウムの水溶液を電気分解して生じるペルオキソ二硫酸(H2(SO4)2)2−を加水分解することによる生産法も行われていたが、電力消費などの理由から現在ではあまり行われていない。
2005年現在、工業的な利用量が増え続けており、アントラキノン法に代わる安価な製造法、精製法の研究開発が各所で進められている。代表的な方法はPd/CやAu-Pd/TiO2を触媒に用いて、酸水溶液中、水素と酸素から直接過酸化水素を合成するものであるが、爆発の危険性が高いなどの問題があり、2006年現在実用化されていない。
1999年10月29日、過酸化水素を運搬中のタンクローリーが首都高速道路2号目黒線を走行中に爆発、横転し多数の負傷者を出す事故が起こった。このタンクローリーは普段は塩化銅を含む廃液の運搬に使用されており、残留していた金属成分により過酸化水素の分解が進み爆発したという、初歩的なミスにより起こった事故である。このように過酸化水素は金属により容易に分解されるので、注意が必要である。
ミイデラゴミムシは体内に過酸化水素とヒドロキノンを貯めておき、これらを反応させて敵に対し蒸気とベンゾキノンから成る100°C以上の気体を爆発的に噴射する。 生体ではエネルギー代謝の際、細胞内に過酸化水素が発生する。カタラーゼは細胞内の過酸化水素の分解を促進する役割を持つ。
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