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主に料理関係においては「玉子」と宛字されることもある。なお、料理で単に「卵」と言う場合は鶏卵の無精卵を指すことが多い。
鶏卵は栄養価が高く、特に良質な動物性タンパク質を豊富に含むほか、卵黄にはビタミンA、ビタミンD、ビタミンEや、リン、鉄、カルシウムといったミネラルが含まれている。世界的にも動物性のタンパク質の摂取源として一般的な食材である。ベジタリアンにも、無精卵だけは動物を傷つけることなく入手できる食材として、食べてもよいとする主義もあり、中国の精進料理でも使われる例がある。
卵の持つイメージについてや、卵にまつわることわざについては卵の項に詳しい説明があるのでそちらも参照されたい。
日本においては、卵といえば、鶏卵を指すことが多く、一般に入手しやすい鳥類の卵としては他にウズラの卵ぐらいしかないが、中国ではアヒルの卵もごく一般的で、他にガチョウやハトの卵もあり、用途に応じて使い分けられている。
鶏卵は卵殻、卵白、卵黄から成る。卵殻は主に炭酸カルシウムから成る多孔質の殻で、外部から酸素を取り込み、胚の呼吸によって生じた二酸化炭素を放出できるようになっている。卵殻の内側には卵殻膜と呼ばれる薄皮がある。
卵白は粘度の高い「濃厚卵白」と、粘度の低い「水様卵白」から成る。
卵黄はひも状の「カラザ」(卵帯)によって卵の中心に固定されている。カラザは日本語で「殻座」あるいは「殻鎖」と書かれることもあるが、実際はラテン語の「chalaza」の音写であり、漢字での表記は当て字。卵黄の中心付近には、直径5mm程度の「ラテブラ」と呼ばれる組織がある。「ラテブラ」はゆで卵にしても完全には固まりきらないという性質がある。
なお、後述の「鶏卵の構造に関する詳細」の項に詳しい解説がある。
国際連合食糧農業機関 (FAOSTAT) によれば、2005年の世界の鶏卵の生産量は5943万4000トンである。全漁獲高9646万トンに次ぎ、他のどのような動物性タンパク質の生産量よりも多い。鶏卵の生産はアジア州 (60.2%)、ヨーロッパ州 (16.7%)、北アメリカ州 (13.9%) に偏っている。全生産量の41.0%(2434万8000トン)を中国1国が生産しており、次いでアメリカ合衆国(533万トン)、インド(249万2000トン)である。中国では、東北区の遼寧省、華北区の河北省、華東区の山東省、江蘇省、中南区の河南省、西南区の四川省に生産が集中しており、以上の6省で生産量の2/3を占める。アメリカ合衆国ではアイオワ州を筆頭に、オハイオ州、インディアナ州、ペンシルバニア州、ジョージア州の順に生産量が多い。
日本国内では、農林水産省の統計[1]によれば、1998年から2002年までの全国の鶏卵生産量は毎年およそ250万トンを推移している。これを県別にみると、2002年において10万トン以上が生産されている都道府県は北海道、茨城県、千葉県、愛知県、広島県、鹿児島県である。
1993年と2005年を比較すると、全世界の生産量は3793万8000トンから1.6倍に成長したことになる。国別では中国の生産増が著しく、2.6倍に達した。次いでインドの1.6倍、アメリカ合衆国の1.3倍が目立つ。以下に、2005年と2003年の生産上位10カ国を挙げる。
上述のように鶏卵は比較的安価な食品であり流通している物はほとんどが無精卵であるが、一部ではブランド卵、こだわりの卵といわれる単価の高い鶏卵も流通している。これには、ニワトリの飼育方法が放し飼い等によるもの、えさに特殊なものを使用したものなどがある。
日本国内で食用消費される鶏卵は、主に白色レグホーン種の産むものであり、殻は白色。過去数十年に渡り、価格が比較的安定していたことから、「物価の優等生」と称されることもある。例えば、1954年から1988年までのMサイズの鶏卵1キログラム当たりの価格を調べたデータによれば、1955年の年平均価格は205円、1965年は191円、1975年(前年のオイルショックにより諸物価が高騰)は304円、1985年は高値-安値で370円から205円までとされており、他の生活必需品と比較して概ね安定的な価格の推移を示している。
鶏卵を割った際に、稀に卵黄が2つ入っていることがある。このような鶏卵を二黄卵(「におうらん」、俗に言う双子卵または「にこたま」)と言い、その殆どは産卵開始後間もない若鶏の産んだ卵である。産卵開始直後で排卵のリズムが一定しない時期に複数の卵黄が連続して排卵される事で出来てしまうが鶏のごく普通な生理現象であり、薬物投与等の人為的方法で作り出されることは無い。外見が普通の卵よりも細長く全体的に尖り、大きさや重さが飛び抜けているため、産卵開始後間もない若鶏しかいない養鶏場であれば比較的簡単に見分けられる。味的にはまったく変わらないが、ごく一部の人は気持ち悪がるかもしれないという理由で出荷前に取り除かれていたが、1998年頃から、後述の二黄卵多発鶏種により生産し選別されたものが流通をしている。
後述「鶏卵のサイズ」のとおりスーパーマーケット等にてパック詰で販売される鶏卵は重量で選別されている。このため若鶏しかいない農場から出荷された鶏卵のうち重いものばかりが選ばれると「パックの大半が双子」などということになり、「薬物投与が行なわれているのではないか」という苦情が保健所に寄せられることもあるらしい。[要出典]
工業製品に例えると「規格外の不良品」になるため、品評会でも確認され次第失格となる。しかし食品として何ら不都合な点は無く、むしろその珍しさ(1羽の鶏が産卵を開始してから廃鶏として淘汰されるまでに二黄卵を産む確率は僅か1~2%といわれている)から縁起物として、農産物の直売や通販などでは付加価値も付く。広島の有名お好み焼き店には、お好み焼きの表面に載せる卵に二黄卵を使用している店がある(「外れ」もたまにある)ただし有精卵であっても、二つの胚が発育スペースを奪い合う形となる事で双方とも発育の途中で死んでしまい、普通なら孵化することはない。
非常に稀に、卵の中に通常の卵黄一つと、石灰化が不十分な小さな卵が一つが入った、二黄(二重?)卵もある[1]。
中国吉林省遼源市でも2007年11月に小さな卵が入った鶏卵が発見された。この鶏卵は普通のものより一回り大きく、中に小さな卵と小さな卵黄が入っていた。
2007年3月中国の青島華陽路のレストランで卵黄の6つ入った卵が発見された。[2]。
アメリカ合衆国で1970年代に研究が始まり、二黄卵を生む鶏を選抜・交配することで通常条件より遺伝的に産卵率の高い鶏種を作り出している。20年以上の研究の結果、141~300日齢での二黄卵発生率が 30% と言う鶏種が作り出された。実用鶏種では 20%程度。[3]国内では青森県畜産試験場などで1979年から実用化に向けた品種改良と育成研究が行われ、[4]給餌条件で二黄卵発生率を高める方法も明らかになっている。[5]
市販されている卵は、パック詰鶏卵規格により、1個あたりの重量によってランク付けがなされている。また、サイズごとに異なる色のラベルが指定されている。
| LLサイズ | 70g以上76g未満 | 赤 |
|---|---|---|
| Lサイズ | 64g以上70g未満 | 橙 |
| Mサイズ | 58g以上64g未満 | 緑 |
| MSサイズ | 52g以上58g未満 | 青 |
| Sサイズ | 46g以上52g未満 | 紫 |
| SSサイズ | 40g以上46g未満 | 茶 |
比較的低価格の商品では、上記のようなサイズ分けをしないでパックに詰めたものも市販されている。
ギネスブックに記載されている最も大きな鶏卵は高さ7.9センチ、幅6.4センチ、重さ176グラムである。 2007年3月、中国江蘇省江都市呉橋鎮万寿村で高さ9.415センチ、幅約6センチ、重さ198グラムの卵が発見された。 ギネスのものより22g重い。
殻の色には、主に白玉と赤玉がある。
黄身の色は餌に含まれる色素により決まる。現在では、消費者に好まれる色になるよう餌を調整し卵を生産しているところが多い。
産み落とされてからの日数の経過に伴って鶏卵には様々な変化が生じる。そのうちの主要なものは濃厚卵白の水様化、カラザおよび卵黄膜の状態の変化である。濃厚卵白の水様化とは卵黄のまわりの卵白のこんもりとした盛り上がりが消える現象である。また、カラザおよび卵黄膜の変化によって、卵を割り落としたときの卵黄の形が扁平なものになり、さらに卵黄が破れやすくなる。そのままの状態で放置すれば腐敗するが、長年放置すると石のように白く硬化する。
鶏卵の鮮度は、実用的には、ハウユニットや卵黄係数によって表示される。ハウユニットは濃厚卵白の水様化に着目した指標であり、卵黄係数は卵黄の形の扁平さに着目した指標である。
ただし、近年の鶏の品種改良により日数が経過してもハウユニットの高さが変わらないものも開発されており、ハウユニットの高さによって鮮度が決められるわけでもなくなっている。
鶏卵を1日2個以上食べると体によくないと信じている人は多い。その根拠は1913年、ロシアの病理学者ニコライ・アニチコワらが、草食動物のウサギに卵を与えたところ、大動脈にコレステロールが沈着して動脈硬化を起こした実験からきている。ウサギによる高コレステロール食品の摂取は自然界においては非常に稀であり、無論酵素等も少ないといえる。そのためウサギにコレステロールを投与した場合、そのまま血中コレステロールに反映して濃度が急上昇することがわかった。アニチコワらの実験は草食動物に卵を与える実験であって、雑食動物に対する結果ではないが、人間にもウサギと同様の作用を生じるとの誤解が生まれる原因となった。
この誤解は90年間にも渡って信じられていたために習慣化してしまい、卵は1日1個と信じている人は食品の専門家の中でも多い。実際には人間は肉や魚などからコレステロールを摂取することに適応しており、摂取した量に応じて体内で合成する仕組みを持っているためコレステロール値を一定に保つことができる[要出典]。
もっとも、以上はあくまで健常者の話であり、高脂血症等の患者に関しては、個々の患者の生活環境及び症状にもよるものの、1日1個程度を目安として摂取することが望ましい。(症状によっては、さらに制限を指示される例もある。)近年では、コレステロールによる疾患患者であっても、薬などでコレステロールのコントロールができる者には高タンパク食品である鶏卵を毎日摂取する様に奨める循環器系医師も多い。
現在は、鶏卵に含まれているレシチンが体内のコレステロールを抑え、動脈硬化、狭心症、脳卒中の予防に役立つと注目されている。さらに、鶏の餌に粉末乾燥した納豆を少量加えることにより卵黄に含まれているコレステロールを抑えた鶏卵が開発されている。
鶏卵はその調理的性質によって、広く料理に使用される。その性質とは、熱凝固性、卵白の起泡性、卵黄の乳化性である。日本において一般的に鶏卵を食べるようになったのは江戸時代とする資料が多い。但し、戦国時代には戦場で野生の鶏を捕え、卵を生で食べていたようである。栄養価の高さから戦病者や病人、産婦によいとされている。
タンパク質の生体利用率は生卵で51%、加熱された卵では91%になる。つまり加熱された卵のタンパク質は、生卵のタンパク質と比較して倍近い吸収率を持つ[6]。
鶏卵を使用した料理の種類は次節のとおり多い。また、ケーキやカステラなどの菓子の原材料、天ぷらやとんかつの衣の材料などに使用される。
卵を生で食べる際はサルモネラによる食中毒を避ける為にも出来るだけ新鮮なものを選ぶのが賢明である。日本でも全農のQCたまごは鶏や製品のサンプリングでサルモネラ検査を実施しているが、菌陰性とまでは謳っていない。特に夏季は劣化が激しいため、牛丼チェーン店などでは持ち帰り客に生卵の販売をしていない。一般的に、海外では生食を前提として販売はしておらず、購入した卵を生食することは極力避けた方がよい。
生卵を日常的に食べる地域は、世界でも日本を中心にした一部の地域のみである。日本の統治を受けていた台湾では、月見うどんやすき焼きなどを食べる際に生卵を使うほか、かき氷のトッピングに生の卵黄を乗せる例もある。同様に韓国でも生卵に対する抵抗は少ない。欧米ではかなりのゲテモノ料理とされる。法律で生卵を食べる事を禁じている国もあり、特異な食文化であると言える。
また精力をつける為に生卵を丸呑みする場合もあるが、実際には効果が無いばかりか非常に消化が悪く逆効果となってしまう。卵の生食に関しては、卵かけご飯の項目にも詳しい記述があるので参照のこと。
鶏卵は食用以外に医薬品の製造にも利用される。
インフルエンザワクチンは、ワクチン用ウイルスの培養に鶏卵を使用する(ウイルスは生きた細胞に寄生する形で増殖するため。(発育鶏卵培養法または鶏卵培養法))。総合感冒薬や鼻炎薬などに配合される消炎酵素剤の塩化リゾチームは卵のたんぱく質を原料につくられる。このため卵アレルギーがある人は注意が必要で医師・薬剤師等に相談する。
卵殻膜は、日本では古くから相撲で傷を早期に治療するために用いられたとされ、これを基に医療品として活用するための研究が進められている。
鶏卵の卵殻は主に炭酸カルシウムからなる。この卵殻を粉砕して得られる粉末は多孔質となっており、鉱物由来のものに比べ食品用途における消化・吸収性が良好である。また、生物由来の素材であることから安全性も高く、資源枯渇の可能性も低い。
鶏卵の殻の利用方法としては、肥料として盆栽の鉢に添えたりすることもある。工業製品としては土壌改良剤のほか、チョーク(白墨)や校庭用白線ガイアフィールドラインの材料となる。また食品・医薬品の分野では、麺類に歯ごたえを与えたり、カルシウム強化用としてスナック菓子などの原料とされる。
卵殻と炭酸カルシウム、酸化チタン、牛乳をミキサーで混ぜ、オーブンなどで焼き固めると象牙の代用品ができる[7][要出典]。
昭和初期に着色した卵殻による絵画制作の技法である卵殻モザイクが、現山梨大学(山梨男子師範学校)の教諭、矢崎好幸により草案されている。
黄身のみを炒めて真っ黒な液状になったもの。カプセル化し健康食品としたものが市販されているが、個人向けの作り方などが書籍等で紹介されている。
卵の黄身に油と親和する性質があるので油と水を乳化させるための素材として用いられる。 14世紀前後のテンペラ画は卵の黄身と顔料と混ぜて絵の具としていた時期がある。
鶏卵は基本的には食材であり、食材を遊びに用いる事は一般にはマナーが悪い事であるとされる。しかし、鶏卵を使った遊びや競技、風習などは世界中に多く存在する。
卵の最外層を覆う、主に無機質から構成される層で、その両面に配置されるクチクラ層や卵殻膜を合わせ、400μm前後の厚さの層を形成する。さらに外層から以下の構造に分けられる。
卵白部は、以下の部分からなる。
これらの構造により、卵黄を、抗菌作用を持つ卵白の中心に位置させることで、微生物による汚染から守っている。
胚の成長における栄養供給を目的とした濃厚な部分。以下の部分に分かれる。
卵黄部分には抗菌性成分を含まない。先に述べたように卵白部の機能により、卵黄は微生物による汚染から免れているが、カラザや濃厚卵白の脆弱化により卵黄が卵殻と接触した状態になると微生物の汚染にさらされるようになり、急速に腐敗するようになる。
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