
発売当初、雑誌は報道資料という役割を果たしますが、掲載から100年経てば歴史資料へと変化します。当時の出来事は、書物で読む限りの知識しか持ち合わせていませんが、写真を眺め、文章を読みますと、具体的な実情を理解しやすいのは当然です。
生活、風習、庶民の暮らし等、写真はリアルタイムな出来事を切り取りながら、現在に呈示してくれる1級の資料だと思います。時には散逸したり、破損したりするわけで、このような1冊の本として編集されることで、新たな息吹が吹き込まれるようです。
三陸海岸の津波、関東大震災の惨状、戦前の軍部による満州支配、焼け野原となった都市、戦後の混乱期の配給制度と引揚者、そして高度成長期の急速な発展など、眺めれば眺めるほど様々な出来事があったということを確認しました。それを補うような外国人記者の目も興味深いものを感じました。
昔の街並みや人々の髪型や服装の変化など、日本人の顔かたちも100年の間に相当変化しましたし、町や村の様子も大きく様変わりしました。その移り変わりの激しさには驚かされます。何しろ100年前の出来事をリアルタイムで見聞きした人がほとんどいないわけですから、このような書籍は貴重です。
文章を書いた記者、雑誌を読んでいた外国人読者同様、現代人にとってはエトランゼの気分で本書を手に取るように思います。
(sasabon さんのレビュー)

読むのに骨は折れますが、西郷隆盛や勝海舟、榎本武揚の行蔵批評を通して「抵抗精神」と「潔い出処進退」の本義を説いた近代日本の名論説。今日の世相や我が身の日常に照らしても、考えさせられること大であった。
併せて収録された「旧藩情」という論説も、中津藩を題材に幕末における身分制度の卓抜たる批判として読み応えあり。これを読むと、門閥制度を厳しく批判しつつも、「武士」階級の美質にこだわり続けた彼の心根がよく理解できる。そして、畢竟その認識が彼をして「丁丑公論」と「瘠我慢の説」の二編の筆を執らせたものと思われる。
「今後期するところは士族に固有する品行の美なるものを存して益これを養い、物を費すの古吾を変じて物を造るの今吾となし、恰も商工の働を取て士族の精神に配合し、心身共に独立して日本国中文明の魁たらんことを期望するなり」(126頁)。「有形なる身分の下落昇進に心を関せずして、無形なる士族固有の品行を維持せんこと、余輩の懇々企望するところなり」(131頁)。これらなどは、今日の経済人にも正に拳拳服膺願いたい一文ではなかろうか。
(麒麟児 さんのレビュー)