
指揮者としてのバーンスタイン、この時点でじゅうぶん、作曲家バーンスタインの横顔を見ることのできる面白いシチュエーションだ。このアルバムは、その活動の中でも、バーンスタインの活動としては普段前面に出して宣伝されることの少ない、アカデミックな作品の録音ばかりを集めている。大衆向けのパフォーマンスは、彼のキャリヤにおいてまさに氷山の一角でしかない。そういう意味で、こういうアルバムはより広い分野の人間に重要さを認められて然るべきだ。華やかな曲目を選ってあるからそれぞれ強烈なインパクトがある。ちょっと重いんじゃないか。しかしバーンスタインという人がそもそも重いからいいのではないか。演奏はやはり彼らしいという言葉では足らないくらい彼らしすぎる。非常にダイナミックで感情的、大げさにして、ときにセンシティヴ。どこを好きになったらいいのかで困る人間の好例だと言える。
(中野 健一 さんのレビュー)